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VI 散布装置試作機の改良
VI-1 試作機の改良
 前章の試作機の性能試験・海上試験の結果を踏まえ、不具合点を改良し、改良型についての性能試験を実施した。
1 収納容器(写真VI-12)
 散布装置(散布管、ポンプユニット、ホース等)一式を収納できる軽量・小型の収納容器を製作した。
2 散布管(図VI-1写真VI-3)
 製作精度(散布管の直線精度、溶接精度)等を上げ、散布管固定金具の収納袋を製作した他、必要な箇所に海中転落防止措置を施した。
VI-2 性能試験(図VI-2)
1 試験日
 平成14年1月31日、気温:11.5℃,水温:9℃
2 試験場所
 山口県下関市武久町2丁目18-14 株式会社カネヤス内施設
3 散布管の直線精度
(1)散布管の直線精度測定
 散布管を組立て、定盤の上に置き、散布管の直線精度を測定する。
(2)試験結果
 散布管の直線精度測定結果を表VI-1に示す。
表VI-1.製作精度測定結果
天地方向 +13
左右方向 +6

※+・−は散布管の中心線を基準とし、
・天地方向:天方向が+、地方向が−
・左右方向:ノズルを地方向に向け、右方向が+、左方向が−を表す。
4 油分散剤散布装置の性能試験と試験結果
(1)油分散剤散布装置(試作改良機)性能試験(S-7使用試験)
[1]室内において油分散剤散布装置を設置し、散布管を測定点より高さ2m及び3mの位置に水平に固定する。
[2]散布装置を駆動し、S-7を吐出させる。
[3]吐出圧を0.2、0.3MPaに設定し、全散布幅(W)を測定する。
[4]散布管の各ノズルの吐出量を測定する。
(2)油分散剤散布装置(試作改良機)性能試験(S-7使用試験)の結果を表VI-2と図VI-3〜5に示す。
表VI-2.油分散剤散布装置(試作改良機)性能試験結果
計測内容 結果
全散布幅
(H=2m)
(mm)
0.2MPa 4080
0.3MPa 4285
吐出量
(H=2m)
(L/min)
0.2MPa 根元 中間 先端
6.54 5.88 6.42
計:18.84
0.3MPa 根元 中間 先端
8.28 8.40 8.28
計:24.96
全散布幅
(H=3m)
(mm)
0.2MPa 4530
0.3MPa 4660
吐出量
(H=3m)
(L/min)
0.2MPa 根元 中間 先端
6.12 6.60 6.30
計:19.02
0.3MPa 根元 中間 先端
8.04 7.80 7.98
計:23.82
5 試作機の改良及び性能試験の評価
(1)試作機の改良
 前回試作の自己攪拌型油分散剤散布装置と比較すると、散布管の製作精度の向上、散布管固定金具の収納について成果があった。しかし、固定金具の海中落下防止措置として、今後、散布管の補強板部に改善を施し、固定金具の落下を防止しなければならない。
(2)性能試験
 前回行ったS-7使用試験結果と比較すると、全散布幅は、ほとんど違いが見られなかったが、吐出量は、前回試験時の同吐出圧値とは異なっている。この原因として、前回試験時には、SUS製カスケードポンプ(叶出ホース口径:φ19)を使用したが、本試験では、試作機用ダイシン製エンジンポンプ(吐出ホース口径:φ25)を使用したことにより、吐出ホースの口径の違いが原因であると考えられる。
6 圧力と船速の関係(表VI-3図VI-6〜8)
(1)実験結果に基づき、任意の油膜厚に対し効果的な分散剤散布量、船速、圧力を整理した。なお、実際の散布にあたっては、風等の現場状況を考慮した最適な調整が必要となる。
(2)分散剤は、自己攪拌型油分散剤S-7を対象とした。
(3)分散剤散布時の船速は、海上実験結果から船体形状にもよるが、最大8knot未満が望まれる。(航走波の影響で、油が船体より離散する可能性がある。)








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