展示解説書
何と何を作りますか?
◆ やってみよう
ブロックでいろいろなものを作ってみましょう。あなたは何を作りますか? 車を作りますか? お家を作りますか? 動物ですか?
◆ 考えてみよう
ブロックは創造力を発揮することでいろいろなモノができあがっていきます。
さまざまな形を作るうちに新しい形を作りたくなることもあります。そしてさらに想像力は広がります。
新しい形を作ったときにもそれを構成しているブロックはどれも前と同じブロックです。ブロックはいったんできあがったものを分解して再び利用し、違う形を作ることができます。
ただし、もっともっとたくさんの種類、あるいは大きなものを作ろうとすると、ブロックは足らなくなってしまいます。
それでも作りたいときは、それまでに作ったものをこわすしかありませんね。
もちろんブロックならば買い足すもできます。でも、地球の資源は買い足すことはできません。
● 解説
地球は人類が存在するよりはるか何十億年も昔、宇宙に誕生したときから循環型といえます。地球が循環型であるのは、宇宙に浮かぶひとつの閉じた環境だからです。閉じたという意味は地球の外と内の物質の出入りが無いということです。地球の中ではどれも限りある物質たちが循環しています。この閉じられた環境の中で私たちは暮らしています。
人類は地球外で活動できる科学と技術を既に手に入れていますが、一般の人びとの活動範囲は今のところ地球を超えることはありませんから、生産、消費、文化、芸術など日常生活にかかわる人間の活動のすべても地球の大きな循環の中に組み込まれているのです。人間の活動が地球規模で大きくなってきている今日では、地球の物質循環に対する影響力が、時間的にも量的にも大きくなってきています。
人間に「資源」と呼ばれている地球上の物質にも限りがあるわけですが、それは人間に利用されることで他の物質に変化し、すがたを変えて地球上に存在しているということです。
つまり、地球環境の中で何かが増えているとすれば、同じくこの地球のどこかで何かが減っているのです。もちろんその逆もあります。
「人口」「温室効果ガス」「ゴミ」などが増えているということは、どこで何が減っているのでしょうか?
どれを回しますか?
◆ やってみよう
どれでも好きなコマを選んで回してみましょう。
回し方を工夫すると、思ったよりも遠くのコマを回すことができます。
◆ 考えてみよう
コマの3本の腕には磁石が入っていて、お互いに引きつけあったり反発しあったりしています。それぞれはお互いにかかわり合っています。
回すときにどれかひとつのコマを目標に決めて、そのコマからできるだけ離れたコマから目標のコマを回してみましょう。
目標のコマを回すためには、途中のいくつかのコマも回ることになります。思ったよりも遠くのコマや動かすつもりの無かったコマまで動くことがあります。
お互いにかかわり合っている状態ではひとつの動きがまわりのすべてに影響を及ぼすことがあります。環境とはお互いにかかわり合っている状態のことでもあります。
● 解説
「自然環境」「環境基準」「生活環境」「環境教育」「地球環境」「環境汚染」「環境ホルモン」「家庭環境」「環境改善」・・・・新聞や雑誌、テレビなどからこれらのことばを聞かない日はないほど、最近私たちのまわりには「環境」ということばがあふれています。
しかし、たびたびに耳にしたり、目にしたりすることはあっても「環境」とは何か?というと、答えは簡単ではありません。
「環境」とは「自然」のこと?「地球」のこと?それとも「暮らし」のことなのでしょうか?
人間ひとりひとりをはじめ自然の中に存在するすべてのものは周りとの「かかわり合い」の中にあります。
「環境」とは「自然」や「地球」のことを指す場合も「暮らし」のことを言い表す場合もありますが、大切なのはそれらすべてが「かかわり合い」の中にあるということです。
どのようなものでも周りと関係なく存在することはありません。それは、お互いに影響し合っているということでもあります。
「環境」は複数のコトやモノそれぞれの関係で成り立っています。人と人。モノと人。それらの集まったモノと自分などなど。
自然や地球との関係だけでなく、家族や社会と個人の関係やひとりの身体の中のいろいろな組織や細胞どうしの関係も「環境」と捉えることができます。さまざまな場面でこのかかわり合いを意識することが「環境」を考える上で大切な「環境感覚」です。
おおきな空!? ひろい海!? <“空”編>
◆ 考えてみましょう
この地球儀の直径は約40cmです。
地球をこの大きさとして考えると、大気の量と海水の量はどれくらいになるでしょう?
大気:約800ml 海水:約42ml
● 解説
地球の直径は、約12,700kmあります。地球の大気の90%は地上から約20km以内にあり、99%は地上から約50km以内にあります。
それ以上の高さでは、大気の密度が急に小さくなります。ただし、数百km上空でもわずかな気体は存在します。
これを直径40cmの地球儀に置き換えてみると、地上50kmは約1.5mmほどの厚さです。この厚さで大気が地球を取り囲んでいるとしたときにその体積は約800mlになります。大気は薄い皮膜のように地球の表面をおおっているのです。
実際の大気は地上から数えて、対流圏、成層圏、中間圏、熱圏の四層が順番に重なった構造になっています。
大気の密度は地上に近いほど高く、上空にあがるほど低くなります。
ここでは地上50kmまでの厚さに大気が一様にあるとしたときの体積を擬似的に置き換えて考えています。
おおきな空!? ひろい海!? <“海”編>
◆ 考えてみましょう
この地球儀の直径は約40cmです。
地球をこの大きさとして考えると、大気の量と海水の量はどれくらいになるでしょう?
大気:約800ml 海水:約42ml
● 解説
地球の直径は、約12,700kmあります。
海洋は地球表面の約71%を占め、その面積は約36,000,000km2あり、平均の深さは約3,800mです。
これを直径40cmの地球儀に置き換えてみると、海の面積は約0.35m2、平均の深さは約0.12mになり、その体積は約42mlになります。
風はどこから来るの?
◆ やってみよう
筒の中に手を入れて、しばらく待ってください。
ちょっと時間がかかりますが、風車がまわりはじめます。
◆ 考えてみよう
手の温度によって空気があたためられ、その空気は上に昇ります。そのため筒の底の方の気圧が下がり、煙突のように他の場所から空気がさそいこまれます。
これと同じように、地球の表面には、気圧の下がっている場所がたくさんあり、その方に向かって横に流れる空気の動きが生じます。これが風です。風は、大気の中で大がかりな熱の交換を行なっています。海では、風によって表面海流が発生します。赤道の暖かい水は南極や北極へと流れていき、そこから赤道へもどってきます。
● 解説
筒の中の手の暖かさが、空気に流れを発生させます。暖められた空気は膨張し、密度が低くなって筒の中を上昇します。この流れによってプロペラが回転します。手の温度と空気の温度との差があまりない場合には、プロペラが回転するまでに少し時間がかかります。
同様に、ほぼ同じ温度の空気の塊どうしの間では、弱い風しか吹きません。大きな温度差のある気団が出会うときには、非常に大きな風が発生します。
湖の水
◆ やってみよう
手前の取っ手を動かすと下に見える絵のようすが変わります。水の中がこんなふうに変わるのはなぜだと思いますか?
◆ 考えてみよう
水中に住んでいる生物が必要とする酸素は、主に水面から取り込まれます。水面を通して空気中の酸素が水の中に入ってきます。水中では、藻も光合成をするときに酸素を発生しますが、合成物を分解するときにそれ以上の酸素を自分で使ってしまいます。
水中では、酸素は底の方まであまり届きません。
富栄養化が進むと、植物プランクトンや藻が大量に繁殖し、水中で利用できる酸素がすべて消費されてしまいます。
● 解説
窒素は生命に不可欠なものですが、これは植物によって吸収され、その成長に大きな影響を与えます。洗剤のリン酸塩などの廃棄物が流れこんだり、窒素肥料が多く含まれた土地が雨で洗われたりすることによって、河川、湖、沿海で、水面に生える藻類や植物プランクトンの養分が豊富になり過ぎ、異常繁殖が起ることがあります。
植物プランクトンや藻類の光合成によって酸素が発生されても、合成物の分解のためにさらに多くの酸素が消費されるので、環境内では酸素量の低下が起ります。この現象は通常4月から10月の間、湖や流れのゆるやかな川などで発生します。また、それは水の深さや透明度とも関係しています。
いきすぎた富栄養化現象が引き起こすアンバランスな状態によって生態系が大きく乱され、完全な破壊に至ることもあります。
100%リサイクル?
◆ やってみよう
リサイクルとは、くり返して再利用することをいいます。
どれが、一番リサイクルしやすいでしょうか?
現在、リサイクルが一番進んでいるものはどれでしょうか?
◆ 考えてみよう
年間の家庭ゴミは、フランス人では一人当たり400kg、日本人では1000kgです。先進国では、ゴミは重さも「かさ」もどんどん増えています。この現象を改善するために、少なくとも四つの方法があります。廃棄物の発生量を減らすこと、不必要な包装を止めること、ビンのような容器は繰り返して利用すること、そして再生・処理をすればもう一度利用できるものはすべて利用することです。
● 解説
ある工業製品の設計を考えるときからすでに、その製品が生態系に与える影響を包括的に理解しようとすることが必要です。
最近では、ある製品が利用されはじめると何が起るかということに関心が向けられるようになり、それは廃棄物と公害の発生を抑制しようとする意志の表れでもあります。
この傾向の中で、主に取り上げられる問題は、廃棄物の回収とリサイクルの方法です。
再利用(自動車部品)、再生利用(紙、ガラス、プラスチック)、再処理(油)、エネルギーの効率利用(都市暖房)により新たな価値を生み出すことを考えます。