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機器を必要とした背景等の説明資料
 日本赤十字社では、手術やけがなどで大量に出血した時などに使う輸血用の血液製剤及び血友病の患者さんの治療に欠くことのできない血液凝固因子製剤をはじめとする血漿分画製剤を医療機関に供給するため、平成13年度末現在、全国に76ヵ所の血液センターと中央血液センター1ヶ所、血漿分画センター1ヶ所、血液管理センター1ヶ所、献血ルーム112ヶ所を設置しています。
 そして、献血受入れ体制の強化を図り、より安全性の高い血液製剤が輸血医療に使用されるよう努力を重ねるとともに、国、各都道府県等と協力して献血推進運動を行っています。
 
 
(事業の背景)
1.成分献血対応型移動採血車の整備
 現在、国内で必要な輸血用血液製剤は、全て献血で賄われており、血液の安定確保とともに、輸血の効果を高め、輸血副作用を軽減するため、400mL献血及び成分献血のより一層の推進が必要となっています。
 また、現在の医療に欠かせない血漿分画製剤は、その多くを海外からの輸入に依存していますが、国としてこの製剤の国内自給を段階的に進めるという大きな方針が打ち出されています。血漿分画製剤のうち血液凝固因子製剤については、一部の特殊な製剤を除いては国内自給をすでに達成していますが、血漿分画製剤の原料を確保するため、平成14年度においては、国から献血による血漿部分の確保量を101万Lから108万Lに増量することが示されています。さらに、今後も確保量の増加が予想されることから、これまで以上に、400mL献血、成分献血の推進を図り、より多くの方に献血に協力していただくことが必要です。
 平成13年度においては、献血者全体の約55%の献血受入れを移動採血車によって行っており、その受入れのほとんどを移動採血車に依存している地域もあります。そのため、成分献血、400mL献血ともに受入れが可能である成分献血対応型移動採血車の整備が重要となっています。
 
2.保冷庫付献血運搬車の整備
 全国の血液センターでは、輸血を必要としている患者さんにより安全な血液製剤をお届けできるように、計画的に献血の受入れを行い、医療機関からの供給要請に24時間対応できる体制を整えております。そのため、常時血液製剤の在庫確認を行い、過不足なく血液を確保できるように、都道府県を越えた血液の需給調整を行っています。
 献血運搬車は、このような医療機関の要請や都道府県を越えた血液の需給調整等に使用されるほか、各献血会場で献血された血液を血液センターへ搬送することにおいても活用されています。
 したがって、献血運搬車は、稼働率が高く、1日あたりの走行距離も長いことから消耗が激しく、全国に配備されている献血運搬車748台のうち毎年100台以上の更新を行っています。
 その中でも保冷庫付献血運搬車は、常時−20℃以下で保管しなければならない新鮮凍結血漿製剤をはじめとする温度変化に影響されやすい輸血用血液製剤の運搬をより適正に行うために、特に必要性の高いものであり、本車輌の整備は、輸血を必要としている患者さんのためにも是非とも必要なものです。
 
3.本事業の成果
 日本赤十字社では、献血によって輸血に必要な血液製剤及び血漿分画製剤の国内自給を達成するという国の基本方針に基づき、より安全な血液を安定的に医療機関へ供給するために国、各都道府県と協力して血液事業を推進しております。
 
(1)成分献血対応型移動採血車の整備事業
 国内で必要な輸血用血液の安定確保にあたっては、輸血を必要とする患者さんにとってより安全で有効な高単位の輸血用血液の確保に重点を置き、血漿分画製剤の国内自給を達成するために国が定める血漿確保目標量の達成を含め、成分献血、400mL献血の推進に積極的に取り組んでいます。
 そのためには、献血者全体の約55%の献血受入れを移動採血車によって行っている現状においては、成分献血の実施可能な移動採血車の整備が必要不可欠であり、その中でも本事業により整備された成分献血対応型移動採血車によって、駅前及び事務所などの広範囲にわたる成分献血の実施が可能になり、成分献血の推進のうえで、より一層の輸血用血液の安定確保に貢献しております。
 
(2)保冷庫付献血運搬車の整備事業
 輸血を必要とする患者さんへ安全な血液製剤を迅速に医療機関に届けられるよう、血液センターにおいては、日々供給体制の充実に努めなければなりません。そのためには、献血運搬車の整備は必要不可欠であり、特に本事業により整備された保冷庫付献血運搬車は、温度変化に影響されやすい輸血用血液製剤の運搬をより的確に行うことができ、輸血用血液の供給体制の強化、充実に貢献しております。
 また、災害時における輸血用血液の大量輸送や緊急保管の手段としても大いに役立つものであります。
平成12年度日本財団補助金整備車輌稼動状況一覧
(平成13年4月1日〜平成14年3月31日)
1.成分献血対応型移動採血車

施設名 型式 整備日 走行距離数
(単位:km)
稼動日数 1ケ月平均稼動日数 献血者数(単位:本) 1稼動平均献血者数 1稼動平均走行距離数
200mL 400mL 成分
大阪府赤十字血液センター 大型 H13.2.26 4,046 217 18 4,073 8,955 121 13,149 60.6 19km
熊本県赤十字血液センター 大型 H13.2.23 14,304 195 16 4,540 10,035 110 14,685 75.3 73km
兵庫県赤十字血液センター 中型 H13.1.24 22,612 256 21 5,535 10,801 499 16,835 65.8 88km
鳥取県赤十字血液センター 中型 H13.1.23 17,881 257 21 6,931 6,527 109 13,567 52.8 102km
合計 21,927 474 39 11,004 15,482 230 26,716    
 
2.保冷庫付献血運搬車

施設名 整備日 走行距離数
(単位:km)
稼動日数 1ヶ月平均稼動日数 供給本数
(単位換算本数)
1稼動平均供給本数 管内医療機関数
福島県赤十字血液センター H13.1.26 28,963 210 18 9,450 45 58
東京都赤十字血液センター H13.1.23 6,067 105 9 9,030 86 133
和歌山県赤十字血液センター H13.1.26 22,319 206 17 17,400 84 156
合計 51,282 416 35 26,850    








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