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はじめに
 連日のように、虐待により死亡した子どもや重いけがを負った子ども、あるいは食べ物を与えられず放置された子どもなどが新聞などで取り上げられています。
 発見される虐待の事例は全国児童相談所の報告では10年前の10倍以上に急増し、虐待の定義や発見・通告・早急な対応等が定められた「児童虐待の防止等に関する法律」が平成12年11月に施行されました。
 平成12年11月に報告された「健やか親子21」でも虐待が大きく取り上げられ、柱のひとつは「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」とされました。今まさに、子どもの命を守り、健やかに心身の成長をはかるための取り組みが求められています。
 児童相談所は地域で虐待に関する対応を行うところで、児童福祉法では虐待を発見した時は児童相談所、福祉事務所に通告を行うとされています。また、児童相談所は虐待が行われていることが疑われる時には、そこに立ち入って調査を行うことができます。
 さらに、在宅では虐待行為の改善が望めず子どもを親から施設などに分離する場合、そのことに親が同意しなくても家庭裁判所に訴え、法的手段により子どもを保護することができます。
 このように、虐待の予防・早期発見・援助が効果的に行われるためには、児童相談所を中心として保健・福祉・医療・教育・司法・民間団体等による地域のネットワークを作り、そのネットワークが有効に機能することが重要です。
 しかし、虐待はある日突然起こることではなく、連続した生活の中でリスクが高まり起こります。そのため、地域であらゆる立場の人が子育てを見守り援助をしていくことが必要です。
 母子保健推進員は母子保健に熱意のあるボランティアの方々です。地域や家庭で起こっている母子保健上の様々な問題を身近な立場で把握し、母親の身近な相談役となり、必要に応じて行政との橋渡しをする役割が、今まさに虐待問題のある親子への関わりとして重要といえましょう。
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