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序文
はじめに
 最近、連日のように子どもの虐待のニュースが伝えられ、それらを見聞きしていると心が痛みます。 虐待は昔からあったのですが、昔の虐待は貧困と社会の混乱の中で、生活に困窮し「子どもを間引く」「子捨て」といった形で現れていました。しかし今日の虐待は、文化や社会、核家族化などのような社会環境や家族形態の急変が大きく影響しておこっています。
 以前の日本は、おじいちゃん・おばあちゃん、お父さん・お母さん、そして子どもたちの三世代が共に居住し家庭を作っていました。そのような社会では隣近所は顔見知りで、互いに助け合って暮らすのが普通でした。
 それが経済の発展とともに地方から都市へと人口が流動する中で家庭は核家族化し、孤立した家庭環境となり、隣近所ですら顔見知りということもなく、従って助け合うということのない社会へと急変してしまいました。
 このような環境の中で妊娠、出産、子育てをしていくことは、不安やストレスを生みます。それが何ら解消せずに、夫婦間の問題や経済問題などが重なると、家庭で弱者である子どもにその責めを無意識のうちに負わせるような方向へとつながっていきます。
 母子保健推進員は地域の中での身近な相談役として、若いお母さんたちに行政の母子保健サービスを提供する橋渡しをしたり、自身の妊娠や子育て経験を通じて助言などを行っています。
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 現在、およそ10万人が各地で活躍していますが、母子保健推進員一人一人が母子保健推進員としての役割を発揮し、妊婦や若いお母さんたちをサポートしていくことが出来れば、子どもの虐待につながる糸口を解決することが出来ます。
 母子保健推進員の全国組織も平成12年に結成され、13年9月には第1回全国大会が母子保健 家族計画全国大会に付設して山口県で開催されました。また全国各地で新たに市町村協議会の組織が出来つつあり、自主的な活動も活発になってきています。
 母子保健推進員の皆さんお一人お一人が、地域の中でその役割を任じ、活躍されることが、母子保健の推進につながります。皆様の益々のご活躍を祈念いたします。
 
社会法人 母子保健推進会議
会長 坂元正一








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