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プレジャーボートと法律
 プレジャーボートをあやつり、魚釣りあるいは快遊にと余暇を楽しんでおられる皆さんは、すでに海技免状を持ち、また船体検査を済ませ、関係する法律に万全であると思います。海技免状を取得する時、船舶職員法、船舶安全法及び海上衝突予防法等、海事に関する法律を学ばれたと思います。
 しかし、皆さんが学ばれた法律の中で通常見過ごし、また海に出る時、案外おこしうるかもわからない行為に法律があることを知っていただくために、ここに抜すいし、列挙しましたので参考にして下さい。
 (注:掲載した法令は、一部である。)
1.港則法
第24条第1項(水路の保全)
 何人も、港内又は港の境界外1万メートル以内の水面においては、みだりに、
バラスト、廃油、石炭から、ごみその他これに類する廃物を捨ててはならない。
 罰則(第41条第2号)
 3箇月以下の懲役又は3万円以下の罰金
第35条(漁ろうの制限)
 船舶交通の妨げとなる虞のある港内の場所においては、みだりに漁ろうをしてはならない。
 罰則(第42条)
 1万円以下の罰金又は科料
第36条第1項(燈火の制限)
 何人も、港内又は港の境界附近における船舶交通の妨となる虞のある強力な燈火をみだりに使用してはならない。
第36条の2第1項(喫煙等の制限)
 何人も、港内においては、相当の注意をしないで、油送船の附近で喫煙し、又は火気を取り扱ってはならない。
2.海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律
 この法律は、各種の措置を講ずることにより海洋汚染及び海上災害を防止し、海洋汚染防止に係る国際約束の実施を図り、究極的には、海洋環境の保全と国民の生命、身体及び財産の保護に資することを目的としています。
イ.船舶からの油の排出の禁止
 何人も、海域において、船舶からの油を排出してはならないとなっています。
ロ.日常系廃棄物の排出規制
 昭和63年1月31日以降、全ての船舶及び海洋施設からの日常生活に伴い生ずるごみ(廃プラスチック類、紙くず、金属くず等)の排出規制が大幅に強化されています。
 罰則
 1,000万円以下の罰金
 過失による場合は、500万円以下の罰金
日常系廃棄物の排出基準の概要
(拡大画面: 192 KB)
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表1 日常系廃棄物の排出基準
ごみの種類 海域 排出方法
廃プラスチック類 3海里未満 排出禁止
3海里以遠 焼却式排出方法
食物くず、木くず、紙くず等の
可燃性ごみ
3海里未満 排出禁止
3〜12海里 焼却式排出方法又は粉砕式排出方法
12海里以遠 排出自由
金属くず(空カン)、ガラスくず
(空ビン)等の不燃性ごみ
3海里未満 排出禁止
3〜12海里 粉砕式排出方法
12海里以遠 排出自由
備考
1.「海域」は、領海の基線からの距離により区分されます。
  なお、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海などの内水は3海里未満の海域に含まれ、ゴ
 ミの排出は一切禁止されます。
2.「プラスチック」とは、合成樹脂、合成繊維、合成ゴム等の合成高分子系化合物を
 いい、今日あらゆる分野で広く用いられています。具体的には、食品等の包装
 材、コップ、皿等の食器類等の日用品があります。
3.「焼却式排出方法」とは、焼却して灰の状態にして排出することをいいます。
 「灰の状態」とは、物の焼けつくした後に残る粉状の物質をいいます。
4.「粉砕式排出方法」とは、次の基準に適合する粉砕装置で処理して排出すること
 をいいます。
 [1]ごみを最大25mm未満の状態にするもの。[2]動揺及び振動により性能に支障を
 生じないもの。[3]保守及び清掃が容易にできるもの。
●排出にあたっての留意事項 ごみを海洋に排出する場合は、できる限り、海岸から離れて少量ずつ行い、かつ、航跡の中に投人するなど速やかに海中で拡散するようにして排出する必要があります。
3.航路標識法
 第11条第2項(船舶についての制限)
 船舶は、航路標識にけい留させてはならない。
 罰則(第16条)
 1万円以下の罰金
4.水路業務法
 第24条(水路図誌及び航空図誌の保護)
 海上保安庁以外の者が、海上保安庁の刊行した水路図誌又は航空図誌を複製し、又はこれを使用して航路又は航空の用に供する刊行物を発行しようとするときは、海上保安庁長官の承認を受けなければならない。
 罰則(第29条第3号)
 3万円以下の罰金
5.船舶職員法
 第18条(船舶職員の乗組みに関する基準)
 船舶所有者は、その船舶に、船舶の用途、航行する区域、大きさ、推進機関の出力その他の船舶の航行の安全に関する事項を考慮して政令で定める船舶職員として船舶に乗り組ますべき者に関する基準に従い、海技免状を受有する海技従事者を乗り組ませなければならない。
 罰則(第30条の3第1号)
 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
6.水産資源保護法
 第6条(漁法の制限)
 水産動植物をまひさせ、又は死なせる有毒物を使用して、水産動植物を採捕してはならない。
 罰則(第36条)
 3年以下の懲役又は200万円以下の罰金
7.漁業法
 罰則(143条)
 漁業権又は漁業協同組合の組合員の漁業を営む権利を侵害した者は、20万円以下の罰金
8.愛知県・三重県の漁業調整規則
非漁民等の漁具、漁法の制限
 内水面以外の水面においては、次に掲げる漁具又は漁法以外の漁具又は漁法で水産動植物を採捕してはならない。
 (1)竿釣及び手釣(まきえを除く(三重県))
 (2)投網(注:三重県は船から禁止)
 (3)四つ手網(3メートル平方未満の網に限る(愛知県))
 (4)たも網(愛知県は火光を利用して使用するものを除く)
 (5)動力を利用しない瀬干漁法(愛知県)
 (6)やす及びは具(三重県は火光を利用するものを除く)
 (7)歩行徒手採捕
 罰則
 科料(10,000円未満)
9.公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(愛知、三重県)
 モーターボート等による危険行為の禁止(愛知県は第9条)(三重県は第8条)
 何人も、通常、人が遊泳し、又は手こぎのボートその他の原動機を用いて推進する舟、水上スキー又はヨットをみだりに疾走させ、急転回させ、縫航させる等により、人に対して、危険を覚えさせるような行為をしてはならない。
 罰則(愛知県は第10条第1項、第2項) (三重県は第9条第1項、第2項)
 1万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
 常習者は、6月以下の懲役又は3万円以下の罰金








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