聴いて感動、観て感嘆の舞台の連続
昼食をはさんで午後の始まりは、全国吟詠剣詩舞道祭式典からでした。来賓挨拶では、はじめに小寺弘之群馬県知事の代理で、高山昇副知事が挨拶に立ち、人間の精神性と日本文化の大切さを話され、吟詠剣詩舞がその基盤になって欲しい旨を話されました。つづいて萩原弥惣治前橋市長が挨拶され、群馬県の素晴らしさを語りながら、そこで日本の伝統芸道である吟剣詩舞が行なわれることに感謝の意を告げられました。財団からは笹川鎮江会長のお言葉を河田神泉副会長が代読され、これからも吟剣詩舞の振興と発展に持てる力を傾注していく決意を話されました。
式典が滞りなく終了すると、舞台は期待の第二部、本部企画構成吟剣詩舞「米百俵の世界―病翁・小林虎三郎の遺稿―」へとうつりました。「米百俵」は小泉純一郎総理が所信表明演説で引用し、より多くの人が知るにいたりましたが、死をもいとわず明日の日本のために尽力し、「米百俵」の精神を広めた小林虎三郎自身にスポットを当て、彼の詩歌をつづりながら、これを吟詠と剣詩舞で味わうタイムリーで好企画な番組でした。笹川鎮江会長の素晴らしい「和歌・かくすれば」からはじまり、河田神泉副会長、鈴木吟亮専務理事をはじめとする吟詠、入倉昭星常任理事をはじめとする剣詩舞など、当代随一の吟詠家、剣詩舞家が顔をそろえ、会場は大きな感動に包まれていました。
第三部、地元企画・構成作品は「上野の詩情−詩歌に詠う上州讃歌」で、この日のために練習を重ねてきた跡がうかがえる力作でした。群馬県は歴史に残る逸材を多く輩出してきましたが、正義に強いが戦略に疎く、直情的で言葉は荒いが情にもろく、乱世よりも平時に力を発揮する、そうした愛すべき県民性を詩歌によって謳いあげた、地元に根付いた内容で、興味を持って鑑賞することができました。舞台の最後は、出演者勢ぞろいで「自由詩・青春」を合吟し、大団円を迎えたときは、会場は拍手喝采の嵐でした。
すべての演目が終了し、フィナーレでは舞台上に出演者と財団役員が並び、本年開催の群馬県から次年度開催の鳥取県へ吟詠剣詩舞道祭旗が手渡され、成功のうちに第十六回全国吟詠剣詩舞道祭は幕を閉じました。来年はさらに素晴らしい内容の全国吟詠剣詩舞道祭が開かれることを期待したいものです。
全国吟詠剣詩舞道祭
「河井蒼龍窟」(三島中洲作)を吟じる工藤龍堂常任理事と、これを舞う鈴木凱山氏とその社中の皆さん |
本部企画「米百俵の世界」の幕開けを彩った笹川鎮江会長の吟詠「和歌・かくすれば」(吉田松陰作) |
杉浦容楓氏とその社中の皆さんの詩舞、河野鶴声、和田彩楓両氏の吟詠で、小林虎三郎作「清夜の吟」 |
「秋日懐いを書す」(小林虎三郎作)を舞う青柳芳寿朗氏とその社中の皆さんと、これを吟じる箕輪緑崇、佐々木一景、若原峰洲、横山寿城の四氏 |