○アメリカで突発した同時多発テロ事件、普通なら海の向こうの出来事だった筈ですが、私(正確には私たち)は偶然、同じ日にニューヨークに居合わせることになりました。

○九月九日(日)午後二時から、ブラジル・サンパウロ市のブラジル日本文化協会大講堂で、第五回ジャパンカルチャーミーティング・ブラジル大会が開催されました。大会には財団から吟剣詩舞道代表団(代表・入倉昭星常任理事)十四名を派遣しました。好天のなか大会は八百名の観客を迎え、盛況の裡に終了しました。財団としては十年ぶりのブラジル公演となりましたが、今回は地元の吟剣詩舞界の方々が多数出演され、両国の交流大会の観が深く、ブラジル吟剣詩舞のさらなる発展を思わせる素晴らしい大会で、代表団一行は地元の皆様から熱い歓迎を受けました。

　

　

○問題は帰路です。我々を乗せた飛行機は、経由地であるニューヨークJ・Fケネディ空港へ、給油などのため現地時間九月十一日午前十時ごろ着陸しました。同時多発テロによる大混乱が始まった、まさに同じ時刻でした。空港からは、世界貿易センタービルから上がる黒煙が見え、初めは何が起きたのか分からず、事件の輪郭が浮き上がるにつれて、恐ろしさと同時に、派遣団一行が期せずして歴史的事件を目のあたりにしたことに、複雑な心境を覚えたものです。

○空港は閉鎖され、私どもは二日二晩、ニューヨーク市内のホテルに滞在を余儀なくされましたが、日本時間九月十四日午後七時前、成田空港に無事到着しました。

　

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