漢詩初学者講座 伊藤竹外
吟詠家に漢詩のすすめ―(三十八)
伊藤竹外
伊藤竹外先生プロフィール
愛媛漢詩連盟会長
(16吟社、会員200名、毎月指導、添削)
六六庵吟詠会総本部会長(吟歴60年)
財団公認愛媛県吟剣詩舞道総連盟理事長
財団法入日本吟剣詩舞振興会理事
平成5年 文部大臣地域文化功労賞
平成8年 財団吟剣詩舞大賞功労賞
著書 豫州漢詩集(編著)
南海風雅集(編著)(2版)
漢詩入門の手引き(10版)他。
一、漢詩は讀むことから
わが愛媛県の吟社では会員の作品を毎月、白文(返り点、送りがなのない詩文)で詩集に編纂し、例会で回讀していますが、すらすら讀めないのみか、誤讀する者が多く、又、吟詠大会のプログラムなども誤記する例が多いようです。漢詩は一般に使われていない詩語が多いのと讀む経験が少ないためと思われます。
(一)讀めない詩語は辞書を引く
次の詩語が讀める人は相当な作詩力があります。
(二)二字、二字、三字の措辞
(註)一字は概ね訓よみ、二字は必ず音よみ。
(三)漢字の讀み方
(中国語の意味と異なる、辞書を檢すること)
尚、本欄の優秀入選作に返り点を付し、更に讀み下し文にふりがなを付しているのは、多くの讀者層に解り易く親しんでもらうことにあります。白文で入選作を多く竝べても恐らく敬遠されるものと思いますが故です。
二、課題「賞〇〇花」について
花は憂愁の多い世界に四季につれてあでやかな彩りと香りをもって私達をなぐさめ、楽しませてくれる天恵であります。
今月の課題に全国から次の如くさまざまな花を詠んで送ってくれました。
梅、桜、桃、牡丹、辛夷(こぶし)、薔薇、紫薇(さるすべり)、

頭、蓮、蘭、梨、水仙、杏、梯梧、茱萸(かわはじかみ)等々。
三、返り点を誤らないこと
自分勝手な讀みと返り点を付している人があります。
一、二の返り点は二字以上返る時に付す。
一字の時はレ点となる(人門の手引き参照のこと)
これが多いのですが、名詞から名詞に返ることはできません。
四、題意を活かすこと
花の題に対し関係のない詩語を使って絶句の四行に引き伸ばすものがあります。
五、詩は理窟を言うべからず
兎角、結句に理窟(主観)を述べて締めくくろうとするのは本質を誤っています。