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編集後記
○本誌にご紹介の通り、三月四日(日)笹川記念会館国際ホールで、平成十二年度財団事業を締めくくる第二十九回全国少壮吟詠家審査コンクール決選大会が開催され、盛会裡に無事終了することができました。厳しい審査の中、出場者の皆さんも大変ですが、審査委員の先生方は一日中、緊張の連続です。コンクール開始に先立って伴奏テープの音量の確認が行なわれました。音量チェックを担当された尺八演奏家の河野正明先生は、ご自分の音程審査席(下手寄り)では、音のバランスが違うということで、会場中央までこられて音量を調べられていました。これは当然のことと言えばそれまでですが、音量と音のバランスというものがいかに大切であるかを知る一コマであったと思います。言うまでもなく、会場の中央と左右の端では、音量や左右の響きのバランスで大変な差があります。この微妙なバランスをとるのが音響の専門家の役、ということであろうと思います。伴奏が大きすぎたり、マイクの集音が悪ければ、力んで吟じさせたり、吟者の声を荒らしてしまう場合さえあります。会場のどの位置でもほど良い音量やバランスのとれた音、吟じやすい伴奏音など、吟詠家として常に関心をもっていたいことであると思います。
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○音の違いということで驚いたことがあります。それは携帯電話のテレビコマーシャルで知ったことですが、着メロ(着信メロデイー)の音の違いのことです。従来型の三和音のものから進んで一六和音のものが登場したということで、その音の響きが良くなるのにびっくりしました。将来はカラオケ並の一六八(?)もの和音の着メロも登場するそうです。普段、何気無く聞いている音楽や発声の善し悪しも、音の響きともいうべき倍音に含まれる和音の多い少ないが大いに影響しているのではないでしょうか。舩川利夫先生の「吟詠上達のアドバイス」も五十回目を迎え、吟詠発声法に関する次のステップへの展開が期待されます。
(矢萩保三)
 
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水六訓
 
一、あらゆる生物に生命力を与えるは水なり。
 
一、常に自己の進路を求めてやまざるは水なり。
 
一、如何なる障害をも克服する勇猛心と、よく方円の器に従う和合性とを兼ね備えるは水なり。
 
一、自から清く他の汚れを洗い清濁併せ容るの糧あるは水なり。
 
一、動力となり光となり、生産と生活に無限の奉仕を行い何等報いを求めざるは水なり。
 
一、大洋を充し、発しては蒸気となり、雲となり、雨となり、雪と変じ、霰と化してもその性を失わざるは水なり。
 
水を心とすることが平和と健康と長寿の妙薬であります。
笹川良一








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