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航空機衝突防止装置(TCAS)について
赤十字飛行隊長 山本 滋
 
 先般 赤十字隊平成13年度全国支隊長研修において、東京国際空港主幹航空管制官川田進氏から標記について有意義な講話を戴き参加者一同目を輝かせて拝聴した。
それで、その概要について私の責任において簡単に紹介することとした。
1. TCASとは。
 近傍を飛行するトラポン装備機(相手機)を発見するとともに、その相手が自機に対して、どのような相対位置にいるか、どの程度の脅威度が予想されるか等を計算する航空機衝突防止装置(T CAS⇒Traffic Alert and Collision Avoidance System)である。他のトラポン装備機に質問波を発射し、将来の相対位置を計算し、その脅威度に応じて与えられる警報装置で、これには2種類がある。又日本国内では1986年11月9日から正式運用されている。
2. TA(Traffic Advisory)とは。
 相手が自機に接近してくることを知らせるもので、最も接近すると予想される時点の約40秒前に「Traffic Traffic」という音声アドバイス警報が発せられるが、回避操作は指示しない。(パイロットに注意を促す段階)
3. RA(Rwssolution Advisory)とは。
 自機に対して危険なまでに接近してくることを知らせるとともに上下方向の回避を指示する警報装置である。パイロットが5秒以内に操作が開始されることを前提に、最も接近が予想される時点の約25秒前に発せられる。(例Climb Clomb Climbの指示)機長は、RAが発生した場合 指示に従って垂直方向に回避操作を行なう。
4. 性能により3種類
 TCAS−I TAの機能のみ。(主として小型機用)
 TCAS−II TAのRA(上下回避操作のみ)の機能を待つ。
 TCAS−III TCAS−IIに水平方向の回避を附加する。(開発中)
5. 目視間隔とは。
 航空機と航空機の接触または衝突を防止しかつ航空管制の秩序ある流れを維持するため管制官が関係航空機を視認することにより、またはパイロットが他の航空機を視認することにより確保すべき最小の航空機間の空間をいう。この空間より近接した場合を「ニアミス」と云うことになる。しかしRA発生と「ニアミス」とは同義ではなく「ニアミス」報告は機長の判断で行なわれる。
6. 空間の数値的距離根拠
 両航空機間の飛行方式により目視間隔の数値的距離は異なる。即ち次のような状況が考えられる。それぞれの距離は如何
[1] IFR機対IFR機…高度1000フィート、距離3マイル(レーダー管制下にある場合)
[2] IFR機対VFR機…数値的根拠なし。
[3] VFR機対VFR機…同上(編隊飛行において一機長の距離でもニアミスには該当しない。)
7. 情勢判断いかが。
 下図について、皆で考えて見よう。
 ☆その場面で、それぞれはどう判断したか。
[1] 管制官は、VFR機は関係ジェット機を見えたと言ったので直ぐに旋回を開始し間隔設定はパイロットに任せた方が良いと考えた。
[2] VFRのパイロットは目視間隔は十分取れていると考えた。
[3] 大型ジェットのパイロットはRAが出たので、それに従ってゴーアランド(着陸復行)を行った。(VFR機を視認していない。)
 ☆その責任は誰にあるのでしょうか。
[1] VFR機のパイロットにある。
[2] IFR機のパイロットにある。
[3] 管制官にある。
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 いづれも明確なる回答は見当たらないのが現状であり、人間の判断と機械の判断とのギャップを如何に解決するかが今後の課題であること。
 (なお更に詳細については、研修時の配布資料を参照のこと。)
以上








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