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普及啓蒙・海洋情報提供活動
1 普及啓蒙講演会
 2001年度のMIRC海洋情報シンポジウムは、(財)環日本海環境協力センターと共催および第九管区海上保安本部の後援の下で、富山市で下記のように開催した。
 
開催日時:2001年8月18日(土)13:30〜17:20
場所:サンシップとやま(富山県総合福祉会館)
講演タイトル:「日本海の環境を考える」-この美しい海をまもるのは私たち-
プログラム:
司会 (財)日本水路協会海洋情報研究センター 所長 永田 豊
開会の挨拶 (財)環日本海環境協力センター 専務理事 折谷 雅實
1.尹 宗煥 (九州大学応用力学研究所)
日本海の流れ、最近得られた多くの知見について
2.山下 信義 (産業技術総合研究所)
日本海深層も汚染されているか?
3.蒲生 俊敬 (北海道大学大学院)
日本海深層水に生じつつある異変
4.鈴木 亨 ((財)日本水路協会海洋情報研究センター)
日本海の海底地形-富山湾付近を中心に-
5.総合討論
閉会の挨拶 (財)日本水路協会海洋情報研究センター 所長 永田 豊
 
 尹教授は、CREAMS(Circulation Research of the Asian Marginal Seas)という国際グループを中心とした最近の国際協共同研究による観測に基づいて、日本海の循環とその新しい知見について紹介された。特に衛星追跡ブイの挙動が、従来から考えられてきた緩やかに日本海を反時計回りの循環から大きく外れて種々の渦に捉えられた興味ある流れ方をすること、日本海は独自の深層水生成の機構を持つが、深層循環を明らかにするために行われた係留系観測結果等興味ある現象が報告された。また、最新の情報として、後の蒲生教授の話にある最近数十年深層水生成が止まっているのではないかという問題に関係し、2000〜2001の冬には一時的にせよ生成が行われた証拠があることを最近のデータから指摘された。山下博士は、海洋中残留性有機汚染物質の研究の難しさについて具体的な説明を与えられた上で、独自の工夫について紹介された。日本海北西部で1995年にご自身で観測・分析されたPCBとノニルフェノールの鉛直分布を示されて、中層から底層にかけてPCBsの濃度が高いのは、1960年代から1970年代にかけてのPCBs汚染の影響による可能性が高いこと等、興味深い報告をされた。蒲生教授は、過去の日本海における海水循環の変遷とその研究の歴史を説明された上、海洋中の溶存酸素が、深層部で1977年から1998年にかけて、明らかに減少してきていることから、最近の20年間において、日本海の深層水の生成が止まっていると考えられることを指摘された。このことは、地球温暖化のような地球規模の異変を暗示するもので、今後とも研究を継続していく必要のあることを指摘された。最後の鈴木博士の講演は、日本海の海底地形について解説する共に、最近MIRCが開発したパノラマアニメーションソフト「パノラマ海底地形」を利用して、富山湾付近の海底地形を鳥瞰図およびウォークスルームービーの形で紹介した。最後の総合討論では、各講演者の補足説明を受けると共に、フロアからの質問を受けて活発な討論が行われた。なお、講演の内容はMIRCが「海のサイエンスシリーズ」のNo.9として刊行している。
2 MIRCホームページ
 MIRCでは、事業やサービスの内容、各種のデータプロダクトの紹介や、海洋知識の普及啓蒙活動の一環としてホームページ(http://www.mirc.jha.or.Jp/)を開設している。2002年1月現在の、その目次および主要製品一覧をそれぞれ図1及び図2に示す。内容の更新や項目の追加等については、適宜実行しており、是非利用して頂きたいと考える次第である。また、若干の情報をホームページから、あるいはNTT DoCoMo i-mode、au EZweb、J-PHONE J-SkyWebから提供している(一部有料)(図3)。
3 海洋情報提供事業
 MIRCのサービス部門である「海洋情報室」は、MIRCの設立よりも早く、1990年4月に開設されており、JODCが管理する海洋情報・データを民間機関・個人向けに提供する業務を行ってきた。1997年4月のMIRCの発足にともない、それに含まれる機関として再編成されたが、従来からの業務をMIRCのデータ管理システム・検索システムを活用してより効率よく行うと共に、MIRCが開発する高品質なデータプロダクトを一般に提供する窓口としての働きをすることになった。
 前記ウェブサイトからオンラインで提供されている情報のほかに、準リアルタイムで提供されているものとしては、海洋情報室独自で発行している「相模湾・伊豆近海海況速報」をはじめ、海上保安庁水路部が発行している海洋速報や海流推測図等を印刷物・ファクスによって提供している。これらの画像情報はそのまま、あるいは若干の付加情報を加えて、1年毎にCD-ROMに収めて提供することも行っている。
 ノンリアルタイム情報については、JODCの所有するデータ・情報を一般に提供する窓口の働きをすると共に、MIRC独自で開発した種々のデータプロダクトの提供を行っている。水温・塩分・海流等の海況関連の情報・データの他に、潮汐・潮流関連をはじめ多岐にわたっているが、MIRC本体の研究開発事業を通して年々拡充を行っている。2002年1月末の時点におけるMIRCのデータプロダクトのリストを文末に示しておく。
 この中で、水深・海岸線等の地圏情報の提供は、MIRCの情報提供の大きな柱の1つである。水深情報として等深線・海岸線データ、底質データ、メッシュ水深統計データ(西部北太平洋について5マイル及び1キロメータメッシュ、日本近海では上述の500mメッシュ)を提供しているが、膨大な情報量からユーザーが必要とするサブセットの切り出しや要求に応じた処理を施したデータプロダクト、鳥瞰図の作成のような画像化の作業も行っている。また、一般啓蒙シンポジウムで鈴木が示した、ウォークスルー動画や、ある地点から俯角・方位を任意に変えて鳥瞰図をえるようなプロダクトの発売を行っており、通常見られない海底の景観を、身近に感じさせるものとして、好評を博している。地圏情報としては、この他、地磁気、重力や柱状データの提供、音波探査記録、測量原図、旧版海図、空中写真等の画像データの提供も行っている。また、天文・暦データとして、日出没・月出没時刻表、気圏データとして海上保安庁の船艇や灯台職員による波浪・風等のデータ、これらの統計表も提供物の一部である。
 海洋情報室はまた、ユーザーのニーズに応じてのデータプロダクト作成の業務を行っている。現在、JODCの「海の相談室」と協力して、海に関する一般の方の疑問に答えるような普及啓蒙活動も担当しており、相談室が管理している文献・図面の検索複製とその提供も行っている。海洋に関する情報・データに関しての質問等は、常時受け付けているので、是非利用願いたい。
海洋情報研究センターホームページ
目次
1. 事業案内
○ 所長のあいさつ
○ 設立目的
○ JODCとの協力
○ 事業概要
○ 組織の構成・体制
○ 施設
○ 交通案内
○ 事業実績
・ 年度別
  ・ 1997年
  ・ 1998年
  ・ 1999年
  ・ 2000年
  ・ 2001年
・ 事業別
  ・ 出版物
  ・ 学術論文・学会発表
  ・ 啓蒙・解説等
  ・ 表彰
2. サービス案内
3. 製品一覧
4. MIRCマリン情報
5. みんなの広場
○ 海洋情報シンポジウムのご案内
○ 世界の海の水温(正二十面体)
○ 東京湾勉強会ホームページ
○ グラフィックギャラリー
○ 過去の広場
6. 海の不思議
○ 海の知識
1. 津波アニメーション
2. 潮流アニメーション
3. 黒潮アニメーション
4. 海流の常識とわれわれの常識
5. 海底地形
  ・ 日本海溝及び付近
  ・ 南海舟状海盆及び付近
  ・ 琉球孤と沖縄舟状海盆
  ・ 日本海
6. 海底調査法
7. 海底火山
8. 海底資源
  ・ 海底資源の概要
  ・ 海底鉱物資源の分布
9. 海の事典
○ 海洋調査の歴史
  ・ 国際
  ・ 国内
○ 海洋調査船とその仕組み
1. 海洋調査のイメージ
  ・ 海洋観測のイメージ
  ・ 海洋測量のイメージ
2. 海洋調査船の探検
3. 海洋調査船のいろいろ
○ 参考図書
7. Q&A
8. 関連機関とのリンク
MIRC主要製品一覧
・ 海洋デ一夕・ソフトウェア
○ MIRC Ocean Dataset 2001(MODS2001)(2001/02/23刊行)
○ 黒潮流軸データ(2001/10/23刊行)
○ 現場用海洋観測データ品質管理ソフトウェアPOD-QC Ver.4.1
・ 海岸線・海底地形データ・ソフトウェア
○ 海底地形三次元表示ソフトウェアTopoView Ver.1.1(2001/5/22刊行,2001/12/20更新)
○ 日本全域海岸線データ(2002/02/04刊行)
○ 日本近海等深線データ(2001/01/12刊行)
○ 沿岸の海の基本図デジタルデータ(2000/12/05刊行,2001/11/14更新)
○ 北西太平洋底質メッシュデジタルデータ(2000年10月刊行)
・ 海底地形画像/アニメーション
○ パノラマ海底地形(2001/08/10刊行)
・ 海況速報資料集シリーズ
○ 海洋速報+NOAA合成画像[1998,1999,2000](2000/10/05刊行)
○ 海洋速報[1955-1969,1970-1979,1980-1989,1990-1999](2000/10/05刊行)
○ 海流推測図(1986-1999)
○ 相模湾・伊豆諸島近海海況速報(1992-1999)
○ 東京湾口海況図(1984-1999)
○ 一都三県漁海況速報(1985-1999)
・ 潮流・潮汐
○ 電子潮見表シリーズ(2001年12月刊行)
お申し込み・お問い合わせ
生産完了品
・ 統合海岸線デジタルデータ,海岸線表示ソフトウェアCLView(2001/01/12刊行)
→「日本全域海岸線データ」に移行
・ 日本近海1000mメッシュ海底地形デジタルデータ
→「海庭地形三次元表示ソフトウェアTopoView」に移行
・ 日本近海等深線デジタルデータ
→「等深線表示ソフトウェアDCView」に移行(2001/01/12刊行)
→「日本近海等深線データ」に品名変更(2002/02/08)
・ 海洋速報
→10年毎に再編集した「海洋速報」,およびNOAA合成画像も収録した「海洋:速報+NOAA合成画像」に移行
・ 電子潮汐情報
→「電子潮見表シリーズ」に移行
マリン情報
●はじめにお読み下さい
●使用上の注意
●メニューの概要
1.潮干狩り情報
2.潮汐予報
3.日の出・日の入り予報
4.海洋略語辞典
○航行警報(海上保安庁提供)
Copyright(C)MIRC/JHA








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