「再び底層水の形成始まる」
2001年6月の日本原子力研究所とロシア極東水文気象研究所との共同観測が行われ、数十年ぶりの底層水の形成が確認された。ウラジオストク南東沖から北大和堆北縁にかけての比較的広い海域において、海底上150m近から水温の急激な減少(前年比-0.03℃程度)と溶存酸素の急増(前年比+0.25ml程度)が観測された。低温・高酸素の底層水が分布する海域は、上部固有水の形成域と考えられ、ウラジオストク付近から吹き出す冬季の季節風によって海面がもっとも冷やされる海域として知られている。2000年〜2001年の冬は平年に比べ異常に寒く、それが底層水の形成につながったと思われる。しかし、形成された底層水は海底の極近傍に限られており、今後新たに形成された底層水がどのような振る舞いをするか注目に値する。