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国連危険物輸送専門家小委員会
 第20回会合議事概要報告
1. 会期、参加国、議題及び議長等
1.1 会期及び開催場所
 会期 : 平成13年12月5日〜15日
 場所 : 国連欧州本部(Palais des Nations、ジュネーブ)
 
1.2 参加国等
1.2.1 国及び国際機関
(1) 委員国:アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、チェッコ、フィンランド、フランス、ドイツ、イラン、イタリー、日本、メキシコ、オランダ、ノールウェー、ポーランド、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、英国及び米国(出席:23カ国、欠席:インド、モロッコ及びロシア)
(2) オブザーバー国:バハマ、ポルトガル及びスイス
(3) 国連専門機関及び政府間機関:IAEA、ICAO、ILO、IMO、EC及びOTIF
 
非政府国際機関:ABSA、AISE、CGA、CEPE、ECMA、EIGA、FIATA、HMAC、IATA、ICCA、ICCR、ICDM、ICPP、ISO、SEFEL及びUIC
1.2.2 わが国からの参加者(敬称略・五十音順)
 遠藤秀雄(経済産業省原子力安全保安院保安課)
 北林邦彦(国土交通省海事局検査測度課)
 白石暢彦(総務省消防庁危険物保安室)
 八十川欣勇(国連危険物輸送専門家委員会委員・日本海事検定協会)
 
1.3 議題の採択及び議長等の選出
1.3.1 議題の採択
第20回小委員会の予定議題(ST/SG/AC.10/C.3/39)は、修正なく採択された。1.3.2 議長等の選出
第20回委員会(2000年12月)において今次2年間(2001〜2002年)の議長及び副議長としてMr.S.Benassai(イタリー)及びMr.F.Wybenga(米国)がそれぞれ選出されており、この二人がそれぞれ議長及び副議長に就任した。
 
1.4 検討結果
1.4.1 今回会合における各提案に対する検討結果は、資料UN2S-13-3及びUN2S-13-4の夫々の結果欄に示した。
 
2. ガス輸送に関する追加規定
2.1 前回会合に提案されたガス規定の問題点に関する提案(01/30:米国)、深冷液化ガスに関する新提案(01/48:EIGA)等を基に、W/G(12月3日〜5日)において検討された。
2.2 W/Gの検討結果(INF.48)は本会議に提出され、検討の上採択された。この結果は、次回正式文書として提出される。検討結果の概要は次のとおりである。
2.2.1 クラス2の特別包装規定(4.1.6)に関する若干の修正提案(01/48:EIGA)は、弁保護の仕様としてIS011117:1998を適用するとすることを除いて採択された。
2.2.2 深冷液化ガスの包装方法(P203)は、若干の修正を加えて採択され、容器の定期検査に関する規定については次回会合で検討することとなった。深冷液化ガス容器に貼付する天地表示標札(5.2.2.1.13)の追加が採択された。
2.2.3 圧力容器等の構造及び試験に関する要件規定(第6.2章)に深冷液化ガス容器を加えるための改正提案(01/48:EIGA)は、一部修正の上採択された。
 
2.3 熱気球用軽量LPGシリンダーに関する規定をモデル規則に加えるとする提案(INF.33:英国)は、これらが大量に輸送されるものでもなく主官庁の許可の基で輸送すれば問題は無いとして支持されなかった。
 
3. タンク
3.1 タンクの同等板厚算式
3.1.1 本議題に関しては、提案文書が無く検討されなかった。
 
3.2 関連提案(第4.2及び6.7章)
3.2.1 圧力安全弁の排出面積算出に関する提案(01/45:スペイン)については、モデル規則の誤解に基づく提案であるとの意見が多く出され、スペインは本提案を取り下げた。
3.2.2 タンクの内部熱作動閉鎖装置に関する提案(01/56:米国)は、「緊急閉鎖」の明確化についての提案のみが採択されたが、米国は本提案を継続検討とすることを要請し、本小委員会はこれに同意した。米国は、本件について次回新しい提案をする予定であることを表明した。
3.2.3 固体物質のタンク輸送に関する提案(01/55:米国)はその趣旨が採択され、米国が次回までにE-mail等による各国からの意見を得て、次回会合に修正提案を提出することとなった。
 
4. コンテナによる固体物質輸送の新規定
4.1 コンテナによる固体物質輸送規定案(01/37:英/独)は、Ad. Hoc(Lunch Time)W/Gを設置して検討された。英/独はW/Gの検討結果に基づいて修正された規定案を次回会合に提案することを申し出た。
4.2 感染性病原物質のばら積みに関する提案(01/38:英国)はその趣旨が採択されたが、詳細については他の固体物質のばら積み輸送に関する提案と共に次回会合で継続して検討されることとなった。
 
5. 小型容器、中型容器及び大型容器
5.1 性能試験
5.1.1 本議題に関しては、提案文書が無く検討されなかった。
 
5.2 関連提案(第4.1、6.1、6.5及び6.6章)
5.2.1 即席食品加熱用の水反応可燃性物質に関するSPPの新設に関する提案(01/40:英国)は、19SCETDGにおける意見を採り入りれた提案であり、包装の許容量に若干の修正を加えて採択された。
5.2.2 塗料、インク、接着剤等の粘性を有する引火性液体のユニット貨物に対する標札の免除を内容とする提案(01/43:CEPE)は、わが国をはじめとして多くの国が反対を表明し、CEPEは本提案を取り下げた。
5.2.3 上記以外の容器規定関連提案は、修正が加えられたものもあるが全て採択された。
 
6. 感染性病原物質の輸送(第6.2章の見直し)本議題に関する正式文書の提案はなかったが、INF. Paperとして次の提案等があった。
6.1.1 感染性病原体等の輸送における通報に関する特別規定(5.5.1.2)の改正提案(INF.4:豪州)は、本規定が例示的規定であるところから、この特別規定(5.5.1.2)を全面的に削除することとなった。
6.1.2 カナダ及びWHOからは、2001年10月開催された感染性病原物質の輸送規則に関するWHO主催のLyon会議の概要(INF.22:カナダ、INF.41:WH0)が報告された。
 
6.2 感染性病原物質の輸送に関する会期外W/G
6.2.1 第6.2章の見直しについては専門家による検討が必要であることから会期外W/Gの設置が提案された。これに対し米国、ドイツ等から本会議における問題点の抽出が先決である等として反対を表明したが、採決の結果、会期外W/Gの設置が承認された。この会期外W/Gは仏政府がスポンサーとなり、2003年3月11日〜13日、パリで開催されることとなった。
 
7. 危険物の分類
7.1 輸送禁止危険物
7.1.1 本議題に関しては、提案文書が無く検討されなかった。
 
7.2 物理的性状による国連番号等の決定方法
7.2.1 蘭/独は本議題に関するINF. Paper(INF.17)を提出したが、これを次回会合への正式文書とすることを申し出て、これが承認された。
 
7.3 水質汚濁物質の分類
7.3.1 水質汚濁物質の分類に関する規定案(01/39:英国)については、GHSとの関連もあり各国とも全面的賛成はしなかったものの、本件が1995年以来検討の俎上に上がっていることもあり今回決着が図られ、英国提案の一部を修正の上モデル規則第2.9章として加えることが採択された。今回採択された本規定案に対する各国提案は文書による提出が要請された。
 
7.4 関連提案
7.4.1 錠剤状次亜塩素酸カルシウム
(1) 錠剤状次亜塩素酸カルシウムに関する提案(01/25/Corr.1:南ア/独、INF.3:南ア)は、破砕度、錠剤仕様、振動試験条件等不明確な点が多く、各国の支持が得られなかった。南アは今回会合の各国意見を踏まえて次回修正提案を行うことを表明した。
(2) 次亜塩素酸カルシウムの副次危険、包装方法、温度管理要件等に関する提案(INF.26:ドイツ)についてドイツは、今回会合での検討を意図していないことを最初に表明した後、その内容を説明した。本件に関してきればわが国と共同提案したいとのドイツの非公式の申し入に対しわが国は、共同提案できるかどうか国内で検討したい旨回答した。
7.4.2 Div.5.1の新エントリー追加に関する提案(01/35及び01/36)は、両提案とも通気孔要件を硬質プラスチック容器にも加える等の修正を加えて採択された。
 
7.5 金属に対する腐食性基準
7.5.1 ドイツは金属に対する腐食性基準に関する提案(00/24:ドイツ)の趣旨に基づく具体的内容をINF.27により説明した。ドイツはこの腐食性基準においては、基準鋼と試験手順が重要であることを指摘し、これに関する意見をE-mail等により同国に提案するよう各国に要請した。
 
8. 爆発物、自己反応性物質及び有機過酸化物
8.1 煙火の分類
8.1.1 オランダは煙火の分類に関する会期外非公式W/G(The Hague、2001年10月)の検討結果を報告書(INF.9)に基づき説明した。
8.1.2 これに対し米国は、Default Listには区分1.2や1.4Sを含める、分類基準を寸法のみならず成分も考慮する、爆薬を含む煙火を除外する等を提案(INF.37)した。一方、中国は自国における試験結果に基づくのDefault Listの修正を提案(INF.50)した。
8.1.3 本小委員会は、Default System(試験によらない分類システム)による煙火の分類原則を採択し、W/G報告書に対する各国意見を踏まえ、次回会合において本会議と平行して開催するW/G(2.5日間)を設置して本件検討を行うこととした。
8.1.4 オランダは、W/G報告書Annex 1のDefault Listに対する意見(試験シリーズ6の訴権結果に基づく)をE-mail等により同国へ早急に提案することを各国に要請した。
 
8.2 硝安エマルジョン等
8.2.1 硝安エマルジョン等に対する8(a)、8(b)及び8(c)の試験結果を試験マニュアル案の“Examples of Results”に加えるとするわが国提案(INF.21)は、ノールウェイ、オランダ、ドイツ等が支持を表明したものの、米国が本提案に反対ではないが検討時間がほしい旨の意見を述べた。これらの意見を考慮して本提案を次回の正式文書としてはどうかとの議長の助言に従い、わが国は本提案を次回の正式提案として処理することを了承した。
8.2.2 ノールウェイ(ANEW/G議長)は、硝安エマルジョン等に対する8(d)試験(Vented Pipe Test)及び硝安エマルジョン等のタンク輸送に関する検討が必要なことから、次回会合でのW/Gの設置を提案した。これに対し米国が反対意見を述べたものの、多数の国はこれに賛意を示し、煙火W/Gに引き続き1.5日間の本会議に平行して開催するANE W/Gの設置を承認した。
 
8.3 新UN圧力容器試験の開発
8.3.1 本議題に関する正式文書の提案はなかったが、スウェーデンが本件に関する提案文書を次回会合に提出することを申し出た。わが国は同国に対し提案文書を予めわが国に送付するよう非公式に要請した。
 
8.4 関連提案
8.4.1 有機過酸化物リストの改正に関する提案(01/47:ICCA)は、その趣旨が同意されたものの、提案リストの内容について詳細な意見が提起されたので、ICCAに対し今回会合の意見を考慮して次回修正提案を出すことが要請された。
 
9. IAEA放射性物質安全輸送規則との調和
9.1 IAEA事務局は、1996年版IAEA放射性物質安全輸送規則(TS-R-1/ST-1)の改訂作業の進捗状況を報告した。1996ST-1は2002年3月開催のTRANSSC VIIにおいてその改訂案が承認され、理事会の議決を経て2003年1月1日から有効となることが紹介された。
9.2 英国はIAEA規則と国連モデル規則の基本的相違点、特に、容器性能試験要件、表示及び包装方法等の相互調和を本小委員会の今後の検討課題とすべき旨の意見を表明した。
 
10. モデル規則関連改正提案
10.1 市販薬剤の適用除外に関する提案(01/41:スイス)は各国の支持が得られず取り下げられた。これに関連して「消費物品:RETAIL PRODUCTS」をクラス9の新エントリーとして加える提案(INF.18:英国)は、次回正式文書として提出するよう要請された。
 
11. 化学品の分類及び表示に関する世界調和システム
11.1 有害表示の形象
11.1.1 米国はGHSの有害表示に用いられている菱形形象に関する研究内容(01/44)に基づき同国政府によるこの形象の使用に関する人的要素の研究成果を報告した。この内容はSCEGHS第2回会合にも報告される予定であることが述べられた。
11.1.2 この報告に対し、これを歓迎しその結果に興味を示す国がある一方では、この研究では現行輸送規則に対する負の影響のみが示され、他の分野の規則や複数分野の調和における利点が示されていないとの指摘がなされた。
11.1.3 スウェーデンからSCEGHS第2回会合に提案される慢性毒性に対する修正形象が報告された。慢性毒性に対する形象は、すでにIOMCからSCEGHS第1回会合で“!!”が提案されている。
 
12. その他の事項
12.1 次の非政府機関の本小委員会へのオブザーバーとしての参加が認められた。
American Biological Safety Association(ABSA)
International Council of Chemical Trade Association(ICCTA)
 
13. 次回会合
13.1 次回第21回会合は2002年7月1日〜9日に開催される予定である。なお、SCEGHS第3回会合は2002年7月10日〜12日に予定されている。








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