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まえがき
 本報告書は、日本財団の平成13年度助成事業「危険物の国際基準策定に関する調査研究」に基づいて作成したものである。
 国連危険物輸送・分類調和専門家委員会(以下「国連委員会」という。2001年7月から従来の国連危険物輸送専門家委員会が改変されこのような名称の委員会となり、危険物輸送と化学物質の分類、表示の調和をその審議内容に含まれた。)は、危険物の国際的な安全輸送要件(危険物の定義、分類、容器及び包装、表示及び標札、危険性評価試験方法及び判定規準等)及び製造、輸送、貯蔵等の全ての分野における化学物質の分類及び表示の世界的調和についての検討を行っている。国連委員会で決定された輸送要件は、危険物輸送に関する国連勧告としてまとめられ、海上運送をはじめとする各輸送モードの国際運送基準や各国危険物輸送規則のモデル規則として勧告されている。このため、最近では国連勧告には国連モデル規則の副標題がつけられている。IMOにおいては、この国連モデル規則を採入れて危険物の海上運送規則としてIMDGコードが策定されている。さらに前記するごとく輸送以外の分野での化学物質の分類等の国際調和も資の守備範囲に含められた。
 本調査の目的は、国連モデル規則の改正や化学物質の分類や表示要件の策定がIMDGコードの内容に影響を及ぼし、その結果が我が国の危険物船舶運送及び貯蔵規則の改正につながるところから、国連委員会での審議についてわが国意見を集約し、同委員会へ専門委員を派遣してわが国意見の反映を図るとともに、危険物輸送に関する必要な情報を収集することである。そのため、日本海事検定協会に危険物輸送国連対応委員会(以下「対応委」という。)を設けてその目的を達成することにした。
 国連委員会は、2年に4回の小委員会及び1回の委員会を開催し、小委員会での検討を委員会において承認するシステムで運営されている。これら会合はジュネーブの国連欧州本部において開催されている。この委員会での結果を反映した「危険物輸送に関する国連勧告」改訂版は、2年毎に出版されている。従って、平成13年度(2001年)は、第19回危険物輸送小委員会(7月2日〜7月10日)及び第1回分類調和小委員会(7月11日〜7月13日)と、第20回危険物輸送小委員会(12月3日〜12月11日)及び第2回分類調和小委員会(12月12日〜12月14日)が開催された。これに対処するために、対応委は委員会及び部会を開催し対処案をまとめ、専門委員が国連委員会及びその小委員会における審議に参加し、これら会合終了後に、対応委及び部会を開いて国連での審議結果を報告した。
 今年度は、わが国からは硝酸アンモニウムエマルジョンの試験結果を第20回危険物輸送小委員会に提案したが、最終合意が得られず次回会合において継続審議されることとなった。
 この報告書は、これら対処案及びその結果をまとめたものである。








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