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健康寿命と骨の健康:健やかな老いを目指して
折茂 肇
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〔略歴〕東京大学医学部医学科卒業。昭和61年東京大学医学部老年病学教室教授。平成7年大蔵省印刷局東京病院院長。平成9年東京都老人医療センター院長。財団法人骨粗鬆症財団理事長。
 
 ヒトの老化とは身体的、精神的、社会的活動の経時的変化の蓄積と定義されます。成人期までは病気や傷害を予防することが最も重要ですが、高齢期においては生活機能、生活の質(quality of life)の低下を防止し、QOLの向上及びその維持に重点が置かれます。WHOも1984年高齢者の健康指標として、死亡率や罹患率よりも生活機能を重視すべきであることを提唱しています。しかしながら一方では、慢性疾患や傷害が生活機能の低下を招来することも事実です。従って老化を防止するには自立した生活、より高いレベルの生活機能を維持するために、良好な健康状態を高齢期まで維持するための方策を考慮することが必要です。Breslowは1972年に i)適正な睡眠時間、 ii)喫煙をしない、 iii)適正な体重の維持、iv)過度の飲酒をしない、 V)定期的にスポーツをする、 vi)毎日朝食をとる、 vii)間食をしない、との7項目の健康習慣を挙げ、その実施項目が多い者ほどかかる病気が少なく、寿命が長いことを報告しています。この事実は健康を維持するには適正な生活習慣、いわゆるライフスタイルを保つことが極めて重要であることを示すものです。癌、脳血管障害及び虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患はわが国における三大死因で、全死亡の65%を占めており、ライフスタイルの改善によりこれらの疾患を克服することは、高齢期における健康維持のために極めて重要な課題となっています。本講演では健やかに老いるためのライフスタイルに焦点を絞り、お話したいと思います。








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