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4.2.4 考察
4.2.4.1 測定結果について
(1)試料No2CHP(Cumene hydroperoxyde)及び試料No6MEKP(Methylethyl ketone peroxide)については圧力上昇曲線に変動が認められ、その結果、最大圧力上昇速度のピーク形状も異なるものが得られた。CHP、MEKP共に昇温過程における熱分解の機構が一定ではないことが考えられる。
(2)その他の試料については最大圧力、最大圧力上昇速度共にほぼ再現性の良いデータが得られ、MCPVT測定方法の妥当性が確認出来たと考える。
 
4.2.4.2 昇温速度が測定値に与える影響について
(1) 試料No2CHP(Cumene hydroperoxyde)は昇温速度2℃/minの時、最大圧力上昇速度が極端に低く、また、15℃/minの時は最大圧力上昇速度が大きくなって再現性が乏しい結果となった。CHPの熱分解機構は昇温速度の大小によって変化し、また昇温速度が大きくなると熱分解の機構が一定ではなくなる傾向にあることが考えられる。
(2) その他の試料については昇温速度が大きくなると最大圧力、最大圧力上昇速度共に少しずつ大きくなる傾向にあってほぼ再現性の良いデータが得られた。MCPVT測定方法の妥当性が確認出来たと考える。
 
4.2.4.3 試料と圧力センサーの距離が測定値に与える影響について
(1) 試料No8BP0(Benzoyl peroxiae)を除いて試料と圧力センサーの距離が短くなると最大圧力、最大圧力上昇速度共に大きくなる傾向にあることが確認された。試料と圧力センサーの距離が長いと導管内で試料の熱分解生成ガスが凝縮し、その結果として最大圧力、最大圧力上昇速度が小さくなると考えられる。
4.2.5 結言
 本研究において以下のことが確認された。
[1] 国連ラウンドロビン試験に対応出来るMCPVT装置を確立する基礎データを得ることが出来た。また、装置の試験手順の習熟を図ることが出来た。
[2] 試験結果に影響を及ぼす要因は昇温速度及び試料と圧力センサーの距離である。今後の試験のクロスチェックにはこれらの条件を統一する必要がある。








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