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2 若者定着の動向
(1) 若者の人口の動き
 平成12年の国勢調査では、本市人口は45,507人と、昭和45年の53,370人をピークに、一貫して減少を続けており、同時に核家族化も進行している(図表1-9)。とくに、直近の平成7年から平成12年までの本市の人口増減率は、マイナス3.58%と、県内7市のなかでも最も減少率が高く(図表1-10)、人口減少対策の早期実施が喫緊の課題となっている。
 
図表1-9 人口と世帯の推移
資料:総務省統計局「国勢調査」(各年分)
 
図表1-10 県内7市の人口動向
市名 人口 増減数 増減率
(%)
平成7年 平成12年
和歌山市 393,885 386,501 △ 7,384 △ 1.87
海南市 47,195 45,507 △ 1,688 △ 3.58
橋本市 53,469 55,078 1,609 3.01
有田市 34,283 33,658 △ 625 △ 1.82
御坊市 28,510 28,032 △ 478 △ 1.68
田辺市 70,246 70,360 114 0.16
新宮市 34,134 33,124 △ 1,010 △ 2.96
資料:総務省統計局「国勢調査」(各年分)
 
 平成7年から平成12年までの本市における人口動向をみると(図表1-11)、男女とも11歳〜30歳と71歳以上の人口減少が著しく、その他の年代ではほぼ全体的に微減傾向となっている。71歳以上では死亡などによる自然減が主なものと考えられ、また11歳〜30歳の人口減少は、特に18歳以上の方の進学や就職、結婚などによる他市町村への転出などが大きな要素を占めていると考えられる。
 また、転出者の年代別構成比をみると(図表1-12)、20歳代から30歳代をあわせて転出者の約7割(68.5%)を占めており、これらの年齢層の人口減少が、本市の少子・高齢化の進行や活力の低下を招く主な要因となっていることがうかがえる。
図表1-11 平成7年〜平成12年までの本市における年齢階級別の人口動向
注)年齢は2000年時点
資料:総務省統計局「国勢調査」(平成7・12年)
 
図表1-12 転出者の年代別構成比
注)海南市の住民異動記録(平成9年4月1日〜平成11年3月31日転出者を対象)
資料:財団法人和歌山社会経済研究所「海南市の居住者アンケート(転出者)」(平成12年3月)
(2) 転出の動機
 平成12年に本市で行った「海南市の居住環境アンケート」結果によると、転出者の動機は「結婚」(26.5%)、「住宅(家が買えない、家賃が高い)」(25.4%)、「仕事(自分に合った仕事、就職先がない)」(24.3%)などが上位を占めた(図表1-13)。
 性別でみると、男性は「通勤に便利な場所に移る」(21.3%)をはじめ、仕事に関連した動機が約6割にのぼり、女性は「結婚」(41.9%)が他の回答を大きく引き離している(図表1-14)。
 
図表1-13 主な転出理由
注)海南市の住民異動記録(平成9年4月1日〜平成11年3月31日転出者を対象)
資料:財団法人和歌山社会経済研究所「海南市の居住者アンケート(転出者)」(平成12年3月)
 
図表1-14 主な転出理由(上位10位)

男性 女性
理由 回答率 理由 回答率
1 通勤に便利な場所に移るため 21.3 結婚のため 41.9
2 転勤の為 19.8 通勤に便利な場所に移るため 10.8
3 希望価格で土地や家が買えない 14.7 希望価格での土地や住宅が買えない 8.4
4 結婚のため 12.7 働く場所のある町に移るため 7.8
5 買物など生活に便利な場所に移る 11.7 希望の家賃でアパートなどが借りられない 6.6
6 働く場所のある町に移るため 10.7 転勤のため
家族(子ども)と同居
6.0
7 希望の家賃でアパートなどが借りられない 9.6
8 通学に便利な場所に移るため 8.1 通学に便利な場所に移るため
親と一緒に住むため
5.4
9 親と一緒に住むため 7.6
10 静かな環境の良い場所に移るため 7.1 買物など生活に便利な場所に移る 4.8
注)海南市の住民異動記録(平成9年4月1日〜平成11年3月31日転出者を対象)
資料:財団法人和歌山社会経済研究所「海南市の居住者アンケート(転出者)」(平成12年3月)
(3) 本市の若者定着施策の状況
ア 総合計画と重点施策
 このような状況をふまえ、本市では、平成13年3月に第3次長期総合計画を策定し、まちづくりのテーマを「〜魅力あふれる生活都市〜元気・快適・ほのぼの海南」と定め、その実現に向けて「若者定着プロジェクト」を含む6つの推進プロジェクトを設定している。「若者定着プロジェクト」では、その推進方向と重点施策として「働く場」、「楽しむ場」、「暮らす場」の環境整備を行うこととしている(図表1-15)。
 また、平成12年7月には、庁内横断組織「海南市人口減少対策検討協議会」を設置し、若者が定着できる生活環境の形成などの協議・検討を行っている。
 
図表1-15 海南市第3次長期総合計画と若者定着プロジェクトの概要
名     称 第3次海南市長期総合計画
策 定 年 月 平成13年3月
目 標 年 度 平成22年度
ま ち づ く り
の主要課題
課題 1: 円滑に世代交代が進む都市の実現
課題 2: だれもが安心して楽しく暮らせるまちの実現
課題 3: 地域性豊かな美しい都市の実現
課題 4: 地域の特性や個性を活かした産業都市の実現
課題 5: 連携を重視したまちづくりの実現
ま ち づ く り
の テ ー マ
  〜魅力あふれる生活都市〜
    元気・快適・ほのぼの海南
6 つ の 推 進
プ ロ ジ ェ ク ト
<元気>
若い世代が地域に定着し、地域資源が有効活用された、にぎわいのある元気社会
 若者定着プロジェクト
  (基本的な考え方)
  元気な海南市の創造に向けて、海南に生まれ育った若者が、親から子へ、子から
孫へと円滑に世代交代が進むような都市をめざす
  (推進方向と重点施策)
  ○ 「働く場としての環境整備」
   −地域産業の高度化・活性化の促進・支援
   −個人・企業のさまざまな雇用・就労ニーズに対応し、起業などの積極的支援
  ○ 「楽しむ場としての環境整備」
   −JR 海南駅周辺や中心市街地の整備・活性化を図り、便利でにぎわいのある
     「まちの顔づくり」の推進
   −地域の中で若者たちが自分たちの興味や関心に応じて行う文化・スポーツ
     やイベントなどさまざまな活動を積極的に支援
  ○ 「暮らす場としての環境整備」
   −既成市街地などの再整備、土地区画整備事業などによる良好な宅地の提供
   −JR の運行体制の充実や道路網の整備など、生活行動圏の拡大に対応した利
     便性の高い交通体系の確立
 一日観光・交流圏形成プロジェクト  (略)
 <快適>
 美しく、うるおいに満ちた暮らし環境の中で、だれもが暮らしやすい快適社会
 美しいまちづくりプロジェクト  (略)
 バリアフリー化推進プロジェクト (略)
 <ほのぼの>
 子どもが健やかに育ち、高齢者がいきいきと豊かな長寿社会を暮らすほのぼの社会
 海南っ子健やか育成プロジェクト (略)
 高齢者生きがいづくりプロジェクト  (略)
資料:海南市「第3次長期総合計画」(平成13年3月)
イ 若者定着施策の実施状況
 本調査研究では、前述の海南市第3次長期総合計画の推進プロジェクト「若者定着プロジェクト」の具現化を目指し、その重点施策として掲げられている「働く場」としての環境整備、「楽しむ場」としての環境整備、「暮らす場」としての環境整備に、「子育て環境」の充実を加えて、本市の若者定着施策の体系化と重点施策の展開方向を提案することを目的としている。ここでは4つのテーマ毎に平成12年度の施策実施状況を整理した(図表1-16)。
 
図表1-16 本市における若者定着関連施策事業一覧
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注) 網掛けは平成12年度からの新規事業
資料:海南市
ウ 現在の若者定着関連施策の主な特徴と、総合的な若者定着関連施策の展開の必要性
 前項で整理した、本市における平成12年度若者定着関連施策の実施状況からみると、以下のような傾向・特徴がうかがえる。
 
 ○全体的にみて、ハード整備が中心
 ○雇用拡大・起業誘発につながりにくい
 ○事業間の連携・相乗効果が薄い
 ○来訪者及び世代間の交流を促進する事業が少ない
 ○行政主導型の運営体制が多くみられる
 
 このようなことから、今後の本市における若者定着関連施策の展開方向としては、「第3次長期総合計画で示されている“まちづくりの現状と課題”」や「若者定着プロジェクトの考え方・推進方向で掲げられている“まちづくりの方向性(理想)”」をふまえつつ、若者定着ビジョン及び総合的な施策体系を構築し、このなかから戦略性や施策間の相乗効果などを十分に吟味した上で重点プロジェクトの抽出を行い、これらの実施にあたっては、庁内関係各課が連携を密にし、全庁横断的に取組んでいく必要がある。








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