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2 景観構造の空間モデル
 ここでは、横須賀市沿岸域の景観構造を考える上での基本的な単位として設定した下図の空間モデルに基づき、横須賀市の景観的な特徴とその変遷の状況を捉える。
図表3-9 空間モデルのタイプ
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(1) 空間モデルの構築とその意味
 空間モデルに基づき横須賀市の景観的な特徴を捉えることの意味と有効性は以下の点にある。
●ある地域の景観の骨格を成すのはその基盤としての地形であり、地域の景観的特徴や課題・問題点は、その地形的条件に大きく依存する。
●即ち、地形的特徴が類似している地域には、ある共通の景観的特徴や課題が存在する。
●このように考えると、地形的特徴から横須賀市沿岸域の類型化を行い、空間モデルを設定することは、細かく見れば千差万別の沿岸域の空間における景観的課題を把握し、それに対する対応の方策を考える上できわめて有効であるといえる。
 具体の空間モデルの構築にあたっては、地形の平面的特徴と断面的特徴、およびその組み合わせから生み出される空間の形に着目して横須賀市沿岸域のタイプの分類を行い、複数の空間モデルを構築する。ここで、地形の平面的特徴は、空間の基本的な印象を規定する要因であり、断面的特徴は横須賀市の特徴である丘陵地からの眺望や丘陵地斜面の見え、および集落・市街地形成の基盤となる平坦地の拡がりに関る要因であり、このような空間モデルの構築は、地形の平面と断面の両方に着目することで、より実態に即した、沿岸域の景観的特徴の把握が可能になると考える。
(2) 空間モデルの設定
 横須賀市の沿岸域の地形を概観すると、基本的な空間の形としては岬型(凸型)、浦型(凹型)、磯浜型に大別することができると考えられる。これは、第2章で示した様に、横須賀市においては、「崎」「浦」「浜」を語尾にもつ町名や小字名がみられることからも裏付けられる。そこでここでは、次に示す大分類で3つ、総計で4つの空間モデルを設定した。
 地形形状を基本とした空間モデルを考える場合には、どのレベル・スケールで地形を捉えるかが重要なポイントであり、地形をより細かく見れば、岬型の一部にも小さな湾型の入り組みがみられる場合や、大きな浦型(凹型)の入り組みの片側だけを見れば、磯浜型と捉えることができる場合などもある。ここでは、空間モデルとして明瞭であり、今後の空間づくりの方向性の検討にも対応できるあるまとまった広がりを有する空間を単位とする考えから空間モデルの設定を行った。
 各空間モデルには、対応が想定される地区名とそのエリアを示したが、あくまでも、本モデルにおける空間単位としての捉え方を示したものであり、例えば全体として岬状に突き出した平面形状を有する観音崎一帯についていえば、その北岸部の走水地区だけを取り出して空間単位として考えれば、磯浜モデルとして捉えることもできる。提示した4つの空間モデルは、以上のような理由からミクロな空間単位に基づいてその空間のあり方を考える上でも、有効性を持つと考える。
 なお空間モデルの構築にあたっては、横須賀市の原風景に近い本来的な空間特徴に着目することから、市街地開発に伴う様々な地形改変以前の地形図(明治16年当時)を基本とした。
 横須賀市沿岸域における、各空間モデルの対応関係を表したものが以下に示す布図である(図表3-10)。
 先にも述べたように、マクロに見ればある1つの空間モデルでくくられるエリア内においても、その部分を取り出せば、それとは異なる空間モデルに該当するよりミクロなエリアが存在する場合がある。またこれと同じように、マクロに見ればある一つの空間モデルでくくられるエリア内の一部分に、それと同じ空間モデルに該当するよりミクロなエリアが存在する場合もある。そこで、図表3-10では、このようなエリアを破線で示している。
図表3-10 空間モデルの対応分布図
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※各空間モデルは、明治16年当時の地形を基にしている。このため、例えば近年海岸部の埋立が著しく進行した中央地区は「磯浜モデル・丘陵迫り型」に分類している。
資料:国土地理院「1:25,000地形図」(平成12年3月)より作成








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