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序 調査研究の枠組み
1 調査研究の背景と目的
 横須賀市は3方を海に囲まれた立地特性にあるとともに、ペリーの浦賀来航、造船業の発展など、海との強い関わりの中で形成されてきた都市である。
 市の基本構想においても、まちづくりの目標として「国際海の手文化都市」を標榜しており、これからの横須賀市においても、海と関わりはますます強く、深くなっていくことはあっても弱くなることは考えられない。
 しかし近年、横須賀市の東岸臨海部を中心に高層マンションが多く建設されるとともに、沿岸部の土地利用も大きく様変わりを見せようとしており、海への眺望や、海から見た横須賀市の景観、さらには都市内において海を感じること自体が希薄になりつつある状況にある。
 特に、マンションの建設については、今後も臨海部を中心に建設が進むことが予想されることから、これらの状況に対応した景観整備のためのガイドラインを作成する必要性が強い。
 市の景観整備にあたっては「都市景観整備計画基礎調査(昭和61年)」「都市景観基本整備計画(平成2年)」があるが、その後のガイドライン作成にはつながっていない状況にある。
 本調査研究は、景観形成に向けてのガイドラインの作成を通して、横須賀らしい美しい都市景観の形成に資することを最終的なねらいとするものである。
 今年度においては、そのための基礎的な調査として、沿岸部を中心に、横須賀市の景観特性および景観実態を把握した上で、横須賀市の抱える景観的な課題とそのための対応に関する検討を行ない、求められるガイドラインの基本的な枠組みを定めることを目的とする。
2 調査研究の視点
 調査研究にあたっては、横須賀市の景観特性および景観課題を把握するにあたって、以下の3つの視点から取り組むものとする。
 一つは、単なる現象としての眺望阻害、景観問題ではなく、横須賀市の沿岸域における景観の変遷をたどることで、現在の景観問題に内在している本質的な地域課題を考察する。
 そのために、地形図や航空写真にみる変遷状況の追跡、かつての暮らしぶりに関する文献調査など、時間軸に焦点をあてた調査、分析を行う。
 二つ目には、景観には「姿」と「意味」の2つの側面があることを踏まえ、横須賀らしい景観形成において特に重要と考えられる《水際部》の景観について、「姿=水際部の施設の高さ・配置」と「意味=水際部の施設の内容・利活用」の2つの観点に基づき実態把握を行う。
 三つ目は、市の景観づくりに関する取組み状況および住民意識調査等を含めた景観イメージに関する分析、具体的な現象としての景観の実態調査といった多面的な観点からの調査を行うことにより、良好な景観形成に向けての課題と、その対応の全体像を明らかにする。
3 調査研究の全体フレーム
 調査研究の目的および調査研究の視点を踏まえ、調査研究の全体フレームを次頁に示す図表序-1のとおりに作成した。
4 調査研究の体制
 本調査研究は、横須賀市と財団法人地方自治研究機構との共同研究として実施した。また実施にあたっては有識者による調査研究委員会を設置し、そこでの審議・検討結果を踏まえ、検討を進めた。
図表序-1 調査研究の全体フレーム
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