[1] 定期、中間又は臨時検査を受けようとする者(船舶所有者)は、船舶検査申請書に船舶検査手帳等を添えて検査機関に提出する。
[2] 予備検査を受けようとする者は、予備検査申請書に関係書類を添えて検査機関に提出する。
[3] 検査申請後の受検申込みは、検査機関の処理方式に従って申込みを行う。
検査を受ける場合は、検査着手前に2)項(1)検査着手前の打ち合わせに記載のとおり検査機関と十分に打ち合わせを行い、検査を受ける事項について、検査の準備をしなければならない。
(1) 定期検査
第2回以降の定期検査における機関の検査は、機関室、ボイラ室、冷凍機器及びその管装置の一次冷媒系統の露出部分、並びにタンカにあっては、ポンプ室、諸管装置、自動呼吸弁、火災防止用金網等について、外観検査を行うほか、施行規則第24条第2号(第30条第2項に係わるものを除く。)及び第30条第1項の規定により、準備された状態で行う。
検査準備の項目と範囲については、3・8表のとおりである。
(2) 第1種中間検査及び第3種中間検査
第1種中間検査又は第3種中間検査における機関の検査は、機関室、ボイラ室、冷凍機器及びその管装置の一次冷媒系統の露出部分並びにタンカにあっては、ポンプ室、諸管装置、自動呼吸弁、火災防止用金網等について外観検査を行うほか、第1種中間検査にあっては施行規則第25条第1項第2号及び第30条第1項の規定、第3種中間検査にあっては施行規則第25条第4項第2号及び第30条第1項の規定により、準備された状態で行う。
検査準備の項目の範囲については、3・8表のとおりである。
ただし、以下の場合にはこれを一部省略又は効力試験に代えることがある。
a. 分割検査又は継続検査を実施している船舶以外の船舶の機関であって、新造の主機、補助機関又は補機(過給機、送風機及び空気圧縮機に隈る。)を備え付けた後、初めて第1種中間検査等(平水及び限定沿海を航行区域とする旅客船にあっては特1中(旅客船について毎年行われる第1種中間検査のうち、定期検査合格後2回目又は3回目の時期に行われる機関、電気、救命設備、海上運転等の強化された検査を行う第1種中間検査。以下同じ。)とする。)を受ける場合は、当該機関については、保守・整備に関する記録、事情聴取等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、効力試験(海上運転)のみとすることができる。
b. 分割検査又は継続検査を実施している船舶以外の船舶で船舶設備規定第183条の規定による電力を供給できる容量の発電機を2台以上備え付けている場合であって、当該発電機を駆動する補助機関の保守整備に関する記録、事情聴取等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、1台については船舶安全法の定期検査等を受ける場合の準備を定める告示第10条第2項に掲げる準備とし、これ以外の発電機を駆動する補助機関については船内負荷による効力試験とすることができる。
c. 平水及び限定沿海区域を航行区域とする旅客船については特1中以外の第1種中間検査時には、保守整備に関する記録、事情聴取等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、解放検査に代えて効力試験(海上運転)とすることができる。
(3) 第2種中間検査
第2種中間検査における機関の検査は、機関室及びボイラ室並びにタンカにあってはポンプ室、諸管装置、自動呼吸弁、火災防止用金網等について外観検査を行うほか、施行規則第25条第2項第2号及び第30条第1項の規定により準備された状態で効力試験を行う。
検査準備の項目と範囲については、3・8表のとおりである。
(4) 発電機を駆動する補助機関の検査
分割検査又は継続検査を実施している船舶以外の船舶で船舳設備規程第183条の規定による電力を供給できる容量の発電機を2台以上備え付けている場合は、定期検査及び第1種中間検査等(平水及び限定沿海区域を航行区域とする旅客船にあっては特1中とする。)の時期に半数ずつ交互に定期検査の準備による解放検査を行い、他の機関は運転整備記録の確認及び船内負荷による効力試験とすることができる。
(5) 検査準備の項目と範囲
検査準備の項目と範囲は3・8表のとおりである。ただし、小型船舶については3・9表による。
3・8表検査準備の項目と範囲
検査準備の 項目 |
検査の区分 |
定期 検査 |
中間検査 |
1中 |
2中 |
3中 |
主
機
・
補
助
機
関
|
1.シリンダーカバーを取り外し、かつピストン及びシリンダライナを取り出すこと |
○*a |
○*d |
× |
○*d |
2.シリンダカバー、ピストン及びシリンダの冷却器を検査できるように解放すること |
○ |
× |
× |
× |
3.クランク腕の開閉量を測定できるようにすること |
○*b |
○*b |
× |
○*b |
4.クランク軸の受金の上半並びにクロスヘッドピン及びクランクピンの受金を取り外し、クランク軸を回転できるようにし、かつ、クランク軸とクランク腕との接合部を検査することが困難なものにあっては、クランク軸を持ち上げておくこと |
○ |
○*e |
× |
○*e |
5.排気タービン過給器及び掃気装置の内部を検査できるように解放し、作動部分を取り出すこと |
○ |
○*f |
× |
○*f |
6.作動に直接関係のある重要な弁を解放すること |
○ |
× |
× |
× |
動
力
伝
達
装
置
及
び
軸
系 |
1.動力伝達装置を解放すること |
○ |
○*g |
× |
○*g |
2.プロペラを取り外し、かつ、プロペラ軸及び船尾管内にある中間軸を抜き出すこと |
○ |
○*h |
× |
○*h |
3.各軸受の上半又はカバー及びスラスト受けを取り外し、かつ、各軸を回転できるようにすること |
○ |
○ |
× |
○ |
4.船尾管後端の軸受け及び張出軸受けと軸との隙間を測定できるようにすること |
○ |
○ |
× |
○ |
5.ピッチを変更する機構を有するプロペラのプロペラ内部の変節機構又は回転部分を検査できるように解放し、かつ、各羽根を取り外すこと |
○ |
○*i |
× |
○*i |
6.ピッチを変更する機構を有するプロペアに付属する管制弁及び変節油ポンプを検査できるように解放すること |
○ |
× |
× |
× |
ボ
イ
ラ
圧
力
容
器 |
1.ボイラの内部及び火部並びに圧力容器の内部を掃除し、マンホール、どろ孔及びのぞき孔のカバーを取り外し、かつ、付属する重要な弁及びコックを解放すること |
○ |
○*l |
× |
○*l |
2.ボイラの火格子さんを取り出し、かつ、煙室戸を開くこと |
○ |
○ |
× |
○ |
3.ボイラの外衣の一部を取り出し、かつ、板及び管の厚さを測定できるようにすること |
○ |
○ |
× |
○ |
補管
機装
及置
び |
1.補機の内部を検査できるように解放し、作動部分を取り出すこと |
○*c |
○*j |
× |
○*j |
2.燃料油タンク、こし器、弁、コックその他の管装置の内部を検査できるように解放すること |
○*c |
○*k |
○ |
○*k |
排
水
設
備 |
1.ポンプのプランジャ、ピストン、羽根車その他の作動部分を取り出し、かつ、弁箱を解放すること
|
○ |
○ |
× |
○ |
2.最高航海喫水線以下で船外に通じる弁及びコックを解放すること |
○ |
○ |
× |
○ |
3.ごみよけ箱及びどろよけ箱を解放すること |
○ |
○ |
× |
○ |
  |
圧力試験、効力試験 |
○ |
○ |
○ |
○ |
注記:1.表中の○印は検査準備を必要とする項目
2.表中の×印は検査準備を必要としない項目
3.表中の*印の項目は当該英文字の注記を参照のこと
4.表中の定期検査は第2回以降の定期検査
*a:主機のうち、内燃機関のシリンダライナの取り出しは、4シリンダ又はその端数毎に1個取り出した状態で行う。ただし、清水冷却又は出力350馬力(257kW)未満の主機(製造後9年以上を経過したものを除く。)に使用するものにあっては、取り出さない状態でよく、また、保守整備記録簿に記載された取り替え記録を参考にして、取り出す数を減じてもよい。
なお、清水冷却の主機で製造後9年以上を経過したものであっても水質管理を行っているものは、その記録から判断して船舶検査官が差し支えないと認める時には取り出さなくてもよい場合がある。
*b:主機のうち、内燃機関のクランク軸の開閉量の測定は、遠洋区域若しくは近海区域を航行区域とする船舶(小型遊漁兼用船であって、漁労をしない間の航行区域が沿海区域又は平水区域であるものを除く)又は、長さ30m以上の第2種漁船若しくは第3種漁船について行う。また、その他の船舶であって、製造後9年以上を経過した主機についても計測を行う。
なお、その他の主機についても、できる限り測定するようにする。
*c:空気圧縮機、ポンプ、熱交換器(加熱器を含む。)、こし器及び圧力容器(始動用空気タンク)については解放整備の記録を調査し、船舶検査官が差し支えないと認める場合には解放検査の立会が省略されることがある。
*d:シリンダカバー(全数)を取り外すのみでよい。
*e:クランクピンの受金の1/3に相当するクランクピンの受け金を取り外し、かつ、クランク軸を回転できるようにするのみでよい。
*f:内部を検査できるように解放するのみで、作動部分の取り出しは不要。
*g:減速装置ののぞき孔のカバーを取り外すのみでよい。ただし、のぞき孔がない減速装置にあっては歯車の歯を検査できるように解放する。
*h:海水潤滑式の船尾管軸受け(張り出し軸受けを含む)を有するゴム巻き、一体スリーブ又はそれと同等以上と認められた防食加工を施された軸又は油潤滑式船尾管を有する軸の場合は、第1種中間検査(旅客船にあっては、特1中とする)又は第3種中間検査を省略することができる。
第2種プロペラ軸については、船底検査の時期に合わせて行うこととし、定期検査時並びに貨物船にあっては第1種中間検査の時期、旅客船にあっては2年目又は3年目の第1種中間検査の時期、外航貨物船にあっては第3種中間検査の時期に行う。
プロペラの取り外し検査は、定期検査時並びに貨物船にあっては第1種中間検査の時期、旅客船にあっては2年目又は3年目の第1種中間検査の時期、外航貨物船にあっては第3種中間検査の時期とする。ただし、定期検査でプロペラの取付部について精密探傷検査及びキーレスプロペラの場合押し込み量の計測を行った場合は、次回の定期検査まで取り外さなくてよい。
*i:羽根の取り外しは1枚のみでよい。
*j:内部を検査できるように解放するのみで、作動部分の取り出しは不要。
空気圧縮機、ポンプについては保守整備に関する記録、事情聴取から船舶検査官が確認し差し支えないと認める場合に、解放検査を省略し効力試験とすることがある。
*k:海水系のこし器については保守整備に関する記録、事情聴取から船舶検査官が確認し差し支えないと認める場合に、解放検査を省略し効力試験とすることがある。
*l:ボイラに係るもののみでよい。また、旅客船のボイラについては、特1中以外の第1種中間検査において、缶水の管理記録、清缶剤の投入記録等の保守管理記録等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、解放検査を省略することができる。
3・9表 検査準備の項目と範囲(小型船舶等)
検査準備の 項目 |
検査の区分 |
定期検査 |
中間検査 |
沿海区域以上 |
限定沿海以下 |
沿海区域以上 |
限定沿海以下 |
主
機
・
補
助
機
関 |
1.シリンダーカバーを取り外し、かつ、ピストンを取り出すこと |
○ |
× |
○*a |
× |
2.シリンダーカバー、ピストン及びシリンダの冷却部を解放すること |
○ |
× |
× |
× |
3.クランク腕の開閉量を測定できるようにすること |
○ |
× |
× |
× |
4.クランク軸の受金の上半及びクランクピンの受金を取り外し、クランク軸を回転できるようにし、クランク軸とクランク腕との接合部を検査することが困難なものにあっては、クランク軸を持ち上げること |
○ |
× |
○*b |
× |
5.作動に直接関係のある重要な弁を解放すること |
○ |
× |
× |
× |
動
力
伝
達
装
置
及
び
軸
系 |
1.動力伝達装置を解放すること |
○ |
× |
○*c |
× |
2.プロペラを取り出し、かつ、プロペラ軸及び船尾管内にある中間軸を抜き出すこと |
○*d |
× |
○*d |
× |
3.各軸受の上半又はカバー及びスラスト受けを取り外し、かつ、各軸を回転できるようにする |
○ |
× |
○ |
× |
4.ピッチを変更する機構を有するプロペラのプロペラ内部の変節機構または回転部分を解放し、かつ、各羽根を取り外すこと |
○ |
× |
○*e |
× |
5.ピッチを変更する機構を有するプロペラに付属する管制弁及び変節油ポンプを解放すること |
○ |
× |
× |
× |
ボ
イ
ラ
圧
力
容
器 |
1.ボイラの内部及び火部並びに圧力容器の内部を掃除し、マンホール、どろ孔及びのぞき孔のカバーを取り外し、かつ、付属する重要な弁及びコックを解放すること |
○ |
○ |
○*j |
○*j |
2.ボイラの火格子さんを取り出し、かつ、煙室戸を開くこと |
○ |
○ |
○ |
○ |
3.ボイラの外衣の一部を取り外し、かつ、板及び管の厚さを測定できるようにすること |
○ |
○ |
○ |
○ |
補
機
及
び
管
装
置 |
冷却装置及び潤滑油装置 |
  |
  |
  |
  |
1.ポンプのブランジャ、ピストン、羽根車その他の作動部を解放すること |
○ |
× |
× |
× |
2.最高航海喫水線以下で船外に通じる弁及びコックを解放すること |
○ |
○*f |
○ |
× |
3.海水こし器、冷却器及び油こし器の内部を検査できるように解放すること |
○*g |
× |
× |
× |
空気圧縮機 |
  |
  |
  |
  |
1.ピストンその他の作動部分を解放すること |
○*g |
× |
○*h |
× |
過給機 |
  |
  |
  |
  |
1.排気タービン過給機及び掃気装置の内部を検査できるように解放し、作動部分を取り出すこと |
○ |
× |
× |
× |
燃料油装置 |
  |
  |
  |
  |
1.ポンプのブランジャ、歯車その他の作動部分を検査できるように解放すること |
○ |
× |
× |
× |
2.燃料油タンクのマンホール及び検査孔のカバーを開き、かつ、油及び危険ガスを出すこと |
○*i |
○*i |
○*i |
× |
3.油こし器及び油加熱器の内部を検査できるように解放すること |
○*g |
× |
× |
× |
排
水
設
備 |
1.ポンプのブランジャ、ピストン、羽根車その他の作動部分を取り出し、かつ、弁箱を解放すること |
○ |
× |
○ |
× |
2.最高航海喫水線以下で船外に通じる弁及びコックを解放すること |
○ |
○*f |
○ |
× |
  |
圧力試験、効力試験 |
○ |
○ |
○ |
○ |
注記:1.表中の定期検査は第2回以降の定期検査
2.表中の○印は検査準備を必要とする項目
3.表中の×印は検査準備を必要としない項目
4.表中の*印の項目は当該英文字の注記を参照のこと
*a:シリンダカバー(全数)を取り外すのみでよい。
*b:クランクピンの受金の1/3に相当するクランクピンの受け金を取り外し、かつ、クランク軸を回転できるようにするのみでよい。
*c:減速装置ののぞき孔のカバーを取り外すのみでよい。ただし、のぞき孔がない減速装置にあっては歯車の歯を検査できるように解放する。
*d:海水潤滑式の船尾管軸受け(張り山し軸受けを含む)を有するゴム巻き、一体スリーブ又はそれと同等以上と認められた防食加工を施された軸又は油潤滑式船尾管を有する軸の場合は、第1種中間検査(旅客船にあっては、特1中とする)又は第3種中間検査を省略することができる。
第2種プロペラ軸については、船底検査の時期に合わせて行うこととし、定期検査時並びに貨物船にあっては第1種中間検査の時期、旅客船にあっては2年目又は3年目の第1種中間検査の時期、外航貨物船にあっては第3種中間検査の時期に行う。
プロペラの取り外し検査は、定期検査時並びに貨物船にあっては第1種中間検査の時期、旅客船にあっては2年目又は3年目の第1種中間検査の時期、外航貨物船にあっては第3種中間検査の時期とする。ただし、定期検査でプロペラの取付部について精密探傷検査及びキーレスプロペラの場合押し込み量の計測を行った場合は、次回の定期検査まで取り外さなくてよい。
*e:羽根の取り外しは1枚のみでよい。
*f:湖川を航行する船舶は除く。
*g:空気圧縮機、ポンプ、熱交換器(加熱器をふくむ。)、こし器及び圧力容器(始動用空気タンク)については解放整備の記録を調査し、船舶検査官が差し支えないと認める場合には解放検査の立会を省略することがある。
*h:空気圧縮機、ポンプについては保守整備に関する記録、事情聴取から船舶検査官が確認し差し支えないと認める場合に、解放検査を省略し効力試験とすることがある。
*i:燃料油タンクの内検は、外観検査により現状が良好と認められる場合は省略することがある。
*j:ボイラに係るもののみでよい。また、旅客船のボイラについては、特1中以外の第1種中間検査において、缶水の管理記録、清缶剤の投入記録等の保守管理記録等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、解放検査を省略することができる。