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4) バランサ装置、ダンパ(減衰器)

(1) バランサ装置
 4シリンダ機関は2次慣性力を抑え、機関振動を低減するため、2次バランサを装着したものが多い。バランサの組立て時には必ず歯車の合マークを確認し、バランサ軸の位相を合わせること。いずれか2シリンダ分のピストンがトップ位置(TDC)にあるとき、バランサ軸のウエイト部が最下位になるようにクランクギヤからの合マークを合わせること。位相がずれるとアンバランスとなり、振動が増加する。
 また、バランサの取付ボルト、ナットの締付トルクを厳守すること。
(2) ダンパ(減衰器)
 ダンパは、ゴム、粘性液などで振動エネルギを吸収しているため、劣化は避けられない。
 メーカの指定した交換時間には必ず交換し、ねじり振動によるクランク軸折損事故を起こさないようにする事が整備の要点である。
 ダンパからの油漏れ、あるいはシリコンダンパのカバーの膨らみ、シリコンラバーダンパのラバーの亀裂はダンパが劣化したことの表れであり、整備を要する。
(3) 点検および整備
 3・8表 バランサ装置、ダンパ(減衰器)の点検、整備による。
3・8表 バランサ装置、ダンパ(減衰器)の点検、整備
点 検 計 測 内 容 整 備 内 容
(a) バランサ装置  
 [1] 分解前にバランサ軸の回転を点検 バランサ軸の自重で回転しない場合分解、点検
 [2] バランサギアのバッククラッシュ、サイドギャップの計測 使用限度以上のものはブッシュを交換
(b) ダンパ (減衰器)  
 [1] シリコンラバーダンパ油漏れ点検、ラバーの亀裂点検 油漏れ、ラバーの亀裂のあるものは交換
 [2] シリコンダンパの油漏れ点検、ふたの膨張量の計測 油漏れのあるものは交換膨張量 (b−a) 寸法が限度を超えたものは交換
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2.3 動弁装置
 機関の高速化、高出力化に対応して、動弁装置も設計、生産の技術向上が図られているが、最近の高速機関では潤滑油の選定と管理が重要であり、メーカの指定する潤滑油を使用する必要がある。
 特に、指定粘度を下回る潤滑油においてカム、タペット(ローラ)の摩耗の不具合が発生することが多い。
 整備に当っては、潤滑油孔の異物による閉そくや潤滑油の劣化等、潤滑条件に充分留意して整備する。

1) 点検および整備
 3・9表 動弁装置の点検、整備による。
3・9表 動弁装置の点検、整備
点 検 計 測 内 容 整 備 内 容
(1) カム軸  
 [1] 吸排気カムおよびカム軸受部の異常摩耗、損傷の有無点検 軽微なものは修正し、異常摩耗があるときは交換
 [2] カム軸基準部軸幅を計測 使用限度以上は交換
 [3] キー溝およびキーのガタを点検 修正不可能なものは交換
(2) カム軸受および位置決めボルトの損傷および摩耗の有無を点検  修正、修正不可能なものは交換
(3) カム軸受部の外径、軸受の内径を計測、スキマ計測 使用限度以上のものは交換
(4) カムとタベットの接触面の偏摩耗、荒れかじりなど異常がないか点検 油砥石により修正する。異常なものは交換
(5) タベット摺動部の損傷、摩耗の点検およびスキマ計測  使用限度以上のものは交換
(6) 弁押棒 (プッシュロッド) の曲がり、損傷および上下端部の摩耗の有無点検  修正し、修正不可能なものは交換
(7) 動弁腕軸と軸受の摩耗、かじりの有無を点検およびスキマ計測  軽度のものは修正、はなはだしいものは交換、スキマ使用限度以上のものは交換
(1) 歯車  
 [1] 各歯車のかみ合いのままバックラッシュを計測する 使用限度以上は調整、または交換
 [2] 各歯の摩耗の有無、歯当り (ピッチング)の状態、亀裂、腐食の状況点検  修正、摩耗のはなはだしいものは交換
 [3] 歯車軸受面の当りおよび摩耗、軸および側面のスキマ点検、計測 片当りは修正、スキマが使用限度以上のときは交換
 [4] ボルト類のゆるみ点検 締直し
 [5] 軸受 (玉軸受) などのガタ点検  洗浄、ガタのあるものは交換








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