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会長メッセージ
「相互扶助」と「話し合い」の時代“型破り”から日本および世界に感動を
 
 
 世界は一段と大きく変化しています。日本もどんどん変わっています。そうした流れのなか、日本はどんな状況や立場にあろうとも、その持てる力を存分に発揮して国際社会での主体的な活動を展開していかなければなりません。その一つは人の役に立つということです。人に貢献するということです。相手の立場に立った「相互扶助」ということを考えるのです。
 
 「話し合い」の時代がすでにやって来ています。米国ワシントンには学問研究と政策の架け橋となることを目的に、1968年に設立された「ウッドロー・ウィルソン・インターナショナル・センター・フォー・スカラー」(略称=ウィルソン・センター)があります。ここには呼ぶに値すると思われる人々が世界中から集められています。そして、研究者ばかりでなく国会議員でも政府高官でもジャーナリストでも誰でもがここの食堂にやってきて食事をします。ビュッフェ・スタイルだから各人勝手にお皿に料理を取ってきて座ります。すると、やはり時の人のまわりに人が集まります。時の人になりたい人は大いに自説をぶっていて、それを質問攻めにする人もいます。図書室やその他でも同じような光景が目につきます。自由な議論の場が提供されていて、最新の情報が飛び交っています。つまり、このウィルソン・センターは居ながらにして世界がわかる情報創造と発信基地なのです。
 
 東京財団の使命とあり方ですが、時には“型破り”のことをして日本および世界に感動を与え、世のため、人のために役に立たなくてはなりません。それには情熱を必要としますが、まずは見識がなければいけません。人、社会を知るとともに世の行く末を考える知識を習得し、知恵を磨き、志を持たねばなりません。そうした力が集約されると創造的なアイデアが自然に出てくるようになります。情報の発信源となる道です。
 
 当財団はこれからも新しい時代の潮流を予感し、それに対処できる方法を考えてまいります。そして、人材を発掘して育てるとともに交流と活躍の場を与え、そこから生まれた斬新な発想や最先端の情報を絶えず発信していきたいものです。そのため、当財団は絶えず外の声に耳を傾けるとともに、自省を絶やさず自己革新につとめます。
 
 今後とも、どうか皆様のお力添えをお願いします。
 
会長
日下 公人








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