I 第一号艇の艤装品改造開発等
I-i 第一号艇の艤装品改造開発
第1号艇の艤装品改造開発等
実施: 特定非営利活動法人ヨットエイドジャパン
目 的
障害者がより使いやすいヨットにするために、身体障害者対応艤装品類の改造や開発を行い、ここで開発した身体障害者対応艤装品や障害者の声を2号艇建造に反映させることを目的とする。
実施方法
第1号艇「有明」の機能確認を通じ改造や変更をおこない、障害者の使い勝っての向上をはかり2号艇建造への改造指示を目的とし作業を実施した。
実施にあたり、1艤装品の機能確認及び改造変更と意見集約指示図の作成、2エレベータ装置の開発研究の2項目にわけ作業を行った。
1 艤装品の機能確認及び改造変更と意見集約指示図の作成
障害者と健常者による第1号艇「有明」の帆操テストによる艤装品の機能確認を実施。また短期間ながら多忙なIFDS会長を招へいし、第1号艇「有明」乗船のうえ国際的立場から貴重な意見アドバイスをいただいた。
これらの意見を検討し、第1号艇「有明」の機器類の改造、変更、取り付け工事を実施した。
艤装品の機能確認で改造変更工事を実施した箇所は、障害者及び健常者にて再度機能確認を実施し、全てにわたり改造前より格段に使いかってが向上したことを確認した。この改造点については2号艇建造にて変更すべく指示図及び指示書を作成した。また意見のなかで「有明」での改造を実施しなかったものについても障害者の声をきき寸法形状を決め指示図及び指示書を作成した。
実施期間: 平成13年4月1日〜9月28日
乗船テスト及び機能確認対象
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下肢障害者車椅子利用、片足切断、両足切断義足、体感機能障害(筋力低下)、脊椎炎、脳性マヒよる運動機能障害、ポリオ。 |
機能テスト及び改造
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障害者による帆走で出た意見の検討行い、取り付け位置及び形状を決栄し、専門業者に依頼し改造を実施した。また改造実施箇所は障害者により機能確認をおこなった。 |
実施場所: 東京湾マリーナ及び東京湾
改造、取り付け工事: 有限会社マリンエクセル、オンザウインド
IFDS(The International Faundation for Disabled Sailing)会長招へい
招へい: IFDS会長 イアン ハリソン氏 IFDS広報 ポーリン ハリソン氏
期間: 平成13年6月8日〜12日
帆走場所: 東京湾マリーナ及び東京湾
2000年度障害者用設備の検証分にて発生の第1号艇「有明」の改造箇所
改造変更箇所 |
理由 |
対処改造 |
後ろウインチ位置 |
デッキ移動の邪魔 |
艇中央方向に |
バックステー |
椅子がじゃまで引けない |
左右に振り分け |
ジブシート |
ウインチにリードできない |
チークブロックの追加 |
ジブシート作業性 |
風上側での操作が楽 |
上記をWに |
椅子のマット |
マットが後ろにずり落ちる |
椅子の後ろに壁を作る |
フッドレスト |
健常者がヒール時に困る |
フッドレストの取り付け |
第1号艇「有明」の改造変更箇所
改造変更箇所 |
理由 |
対処改造 |
左ウインチ |
回すと足が当たる |
角度を付ける(右側と同じ) |
メインシートクリート |
クリートが外れない |
床固定式のものに |
エンジン回転計 |
回転数に気を付けたい |
回転計の取り付け |
ヒール計 |
ヒール角度の表示が必要 |
ヒール計の取り付け |
ヘルム椅子足乗せ |
ハンドルポストに当たる |
2cm程度切断付け直し |
メインハリアード |
左側で力が入らない |
スピンハリヤードと入れ替え |
クリート |
マヒの方が止めるの大変 |
大きなものに変更 |
椅子の移動ロープ |
もっと軽くスムースに |
シートをガンネル側より引く |
シートベルト腰、胸 |
身体を支えたい |
イスにベルト取り付け |
ギャレー |
排水ポリタンクは不潔 |
スルハルにて船外ヘ |
ウインチ |
最後の部分が引きにくい |
1サイズ上のウインチに |
船内ハンドリール |
状態確保に天井に必要 |
ハンドレール取り付け |
第1号艇「有明」の改造をともなわない改造指示箇所
改造変更箇所 |
理由 |
対処指示 |
マストパルピット |
身体が入らない |
形状変更、マストとの幅を大きく |
ロッカー |
物入れ容量が不足 |
内側の容量をおおきく |
トイレ |
身体の支えが欲しい |
後日取り付け用品のため壁面変更 |
コンパニオンウエー |
車椅子が入らない |
コンパニオンウエーを広く |
排気口 |
水がはねる |
位置を上に |
メインが返らない |
バックステーに引っかかる |
セールのローチをつめる |
キャビン荷物の固定 |
帆走時荷物があばれる |
アイ取り付け板の追加 |
ゲートスタンション |
乗降時艤装品が邪魔 |
後方に変更 |
スロッルレバー裏面 |
ロッカーの品物に当たる |
裏にカバーを付ける |
ハンドル |
足に当たる |
位置を高く設置 |
前部椅子足乗せ幅 |
狭く大きな靴が入らない |
位置を後ろにし、台幅を狭く |
ハッチ部 |
ひび割れ発生 |
補強対策依頼 |
トイレバルブ位置 |
手が屈かず使いにくい |
補強して15cm上げる |
ビルジポンプ |
使用時パイプ操作が大変 |
ホースをビルジ溜まりに固定 |
指示図及び変更書の作成
上記、艤装品の機能確認で改造変更した点やテスト帆走、バリアフリーフロンティアクルーズでの意見を集約し、第2号艇建造へむけ変更図面及び変更文書で指示した。
意見集約のなかでコンパニオンウエーの寸法変更を除き、アンカーロッカーの新設、デッキロッカーの入り口変更、キャビン高さをあと5cm等々、モールドの大幅変更となるものや、キャビン物入れにショックコードのカバーを、ドジャーを、タンク容量等々は、運航運営にて実施すべき項目として2艇建造への変更指示としなかった。
エレベーター装置については、ほとんどの方から意見をいただき注目の機器であることが実感された。これらをふまえ本項目の改造とは切り離し、エレベータ装置の開発研究として別途実施した。
本報告書作成にあたり、数ある意見を取り入れ、日程をはじめ第1号艇「有明」の困難な改造工事を的確に実施した有限会社マリンエクセルの村山貢一氏に感謝の意を表し、心から御礼を申し上げたい。
ここに乗り手である障害を持つ人の意見を取り入れた2号艇への
別紙改造指示が完成した。