日本財団 図書館


1. 主催にあたって/寺島紘士(日本財団常務理事)

 

皆さん、こんにちは。本日は、私どもが企画いたしました「海・川・水が教えること」〜「総合的な学習の時間」への提案〜というテーマでセミナーを開催いたしましたところ、小中学校、あるいは高校の先生方、博物館の学芸員の方々に多数ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

さて、おとといは、国産のH2Aロケットの打ち上げが無事成功いたしまして、ほんとうによかったなと思った次第ですけれども、なぜ人類は宇宙にそんなに関心を持つのでしょうか。答えは人によって違うかと思いますけれども、地球以外の星に生物がいるかどうか、これは私たちの大きな関心事であることに異論はないと思います。先日、私はテレビで、火星の衛星で、水が存在する証拠が見つかったというのを見ましたけれども、水があれば生物が存在する可能性があるというわけで、これが大きなニュースになったわけです。

ところで、私たちの住む地球は、この宇宙では非常に珍しい、大量に水のある水の惑星と言われています。地球46億年の歴史の中で、水から生命が誕生して、今、地球上では、多様な生物が豊かな生態系を形成しております。地球の表面の7割は水に覆われております。今、地球上には14億立方メートルという膨大な水があります。この水は、ではどこにあるんでしょうか。これは皆さんすぐに感覚的には思い浮かぶと思いますけれども、その97.5%は海にあります。それから1.75%は、雪や氷という形で南極や北極にあります。0.3%は地下水です。そうすると、残りはわずかですけれども、残りが大気中や河川や湖沼にあるわけです。

しかし、これは水のある一面だけを示しているにすぎません。水は常に移動し、あるいは大きく循環をしております。海から蒸発し、大気中で冷やされて雨となって地上に降り、川となって田畑を潤し、森を育て、海に流れ込むというような循環も、その1つの例です。海は、魚や海草等の海の幸や、海上の交通路などを私たちに提供してくれるだけではなくて、地球の水がめとして、また水の循環の大もととして、大変重要な役割を果たしているわけです。

最近になって、この水の循環が大変重要だということが、改めてあちこちで言われております。例えば、魚がとれなくなったり、磯焼けというのがあちこちで起こっておりますけれども、それは川の上流の森の木を切ってしまったためではないかということで、漁師さんたちが山の植林に取り組んでいます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION