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2000年(平成12年)

平成11年門審第31号
    件名
プレジャーボートシーサイド号転覆事件(簡易)

    事件区分
転覆事件
    言渡年月日
平成12年9月28日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁

西山烝一
    理事官
新川政明

    受審人
A 職名:シーサイド号船長 海技免状:四級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
転覆、船外機に濡損

    原因
波浪の危険性に対する配慮不十分

    主文
本件転覆は、波浪の危険性に対する配慮が不十分で、速やかに帰航しなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。

適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年12月19日11時55分
福岡県西浦埼西方沖合
2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボートシーサイド号
全長 5.52メートル
幅 1.54メートル
深さ 0.62メートル
機関の種類 電気点火機関
出力 18キロワット
3 事実の経過
シーサイド号は、定員4人乗りの船外機付きFRP製プレジャーボートで、A受審人が1人で乗り組み、知人2人を乗せ、魚釣りの目的で、船首尾とも0.12メートルの喫水をもって、平成10年12月19日07時20分福岡県西浦漁港を発し、西浦埼西方沖合の釣り場に向かった。
ところで、シーサイド号は、平成10年5月にA受審人が中古で購入し、その構造は、和船型で、船首から順に船首物入庫、前部フロア、船体中央部付近に幅約50センチメートル(以下、センチという。)高さ約40センチで横の長さが両舷に渡るいけすと道具入れとに仕切られた中央物入庫、後部フロア及び船尾端に船外機のハンドル操作が行える幅約30センチで両舷に渡る腰掛け台とからなっており、フロアと船底との間隙には沈没を防ぐため浮体が充填されていた。そして、乾舷が小さく無甲板の船型なので、波浪が高まると船内に海水が打ち込み易い状況となり、排水ができ難いことから、波浪が大量に打ち込み始めると、短時間で水船状態になるおそれがあった。

A受審人は、出航後陸岸沿いに北上し、07時30分西浦埼の南西方270メートルの釣り場に着き、2時間ばかり釣りを行ったのち、09時35分同釣り場から100メートルほど北東方の釣り場に移動したものの、釣果がなかったことから更に釣り場を変えることとし、11時05分西浦岬灯台から268度(真方位、以下同じ。)250メートルの地点に至り、機関を停止し、重さ8キログラムのダンホース型錨を投じ、直径20ミリメートルの化学繊維製の錨索を船首から約15メートル延出した。そして、折からの風も勘案したうえ、潮流を右舷方から受けるようにするため、船尾から調節用のロープを約6メートル出して、船首から約6メートルの錨索のところに固縛して三角形状に張り合わせ、船首を東に向けて錨泊した。
錨泊後、A受審人は、中央部のいけすの上に座り、B同乗者が左舷側前部、C同乗者が左舷側後部でそれぞれクーラーボックスに腰掛け、全員が左舷側を向き釣り竿を使用して釣りを再開した。

11時35分A受審人は、1回目の釣り場で釣りをしていたときと比べ、風が次第に強まり、波浪も高まって約1.5メートルとなり、時折船内に海水が打ち込む状況になったのを認めたが、これぐらいの波高ならば、船内に波浪が大量に打ち込むことがないので大丈夫と思い、波浪の危険性に配慮して速やかに帰航することなく、魚釣りを続けた。
11時50分ごろ更に波浪が高まり、波高2.0メートルとなった波浪が右舷船尾側から大量に打ち込んで後部フロアに海水が溜まり、A受審人は、小さな柄杓での排水が間に合わなかったことから、揚錨して帰航することとし、C同乗者に船尾のロープを錨索から外すよう指示して、これに手間取っているうち、波浪が次から次へと船内に打ち込み、前部及び後部フロアとも浸水して水船状態になり、右舷側に約20度傾いて船尾部から沈む状況になったので、同受審人と同乗者2人が左舷側に移動したところ、更に大きな波の打ち込みがあり、シーサイド号は、11時55分前示錨泊地点において、復原力を喪失し、船首を88度に向けて右舷側に転覆した。

当時、天候は晴で風力4の西風が吹き、潮候は下げ潮の初期で、付近には波高約2.0メートルの波浪があった。
転覆の結果、シーサイド号は、船外機に濡損を生じ、来援した漁船によって西浦漁港に引き付けられ、A受審人と同乗者2人は、海中に投げ出されて船底につかまっていたところ、通りがかりの鮮魚運搬船に救助された。


(原因)
本件転覆は、福岡県西浦埼西方沖合において、錨泊して遊漁中、波浪が高まった際、波浪の危険性に対する配慮が不十分で、速やかに帰航せず、波浪が連続して船内に打ち込み、水船状態となって復原力を喪失したことによって発生したものである。


(受審人の所為)
A受審人は、福岡県西浦埼西方沖合において、錨泊して遊漁中、風が次第に強まり、波浪も高まって船内に海水が打ち込む状況になったのを認めた場合、乾舷が小さく無甲板の船型で、波浪が高まると船内に海水が打ち込み易く、水船状態となって転覆するおそれがあったから、波浪の危険性に配慮して速やかに帰航すべき注意義務があった。しかるに、同人は、これぐらいの波高ならば、船内に波浪が大量に打ち込むことがないので大丈夫と思い、波浪の危険性に配慮して速やかに帰航しなかった職務上の過失により、波浪が連続して船内に打ち込んで水船状態となり、復原力を喪失して転覆を招き、船外機に濡損を生じさせるに至った。






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