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2000年(平成12年)

平成11年門審第70号
    件名
漁船和漁丸乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成12年1月21日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁

宮田義憲、阿部能正、西山烝一
    理事官
今泉豊光

    受審人
A 職名:和漁丸船長 海技免状:二級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
舵、推進器翼及び同軸を曲損、船首船底及び左舷船底外板に破口

    原因
居眠り運航防止措置不十分

    主文
本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年10月28日05時20分
山口県羽島北西岸
2 船舶の要目
船種船名 漁船和漁丸
総トン数 12.67トン
登録長 14.45メートル
機関の種類 ディーゼル機関
漁船法馬力数 160
3 事実の経過
和漁丸は、中型まき網漁業船団に付属するFRP製の運搬船で、A受審人が1人で乗り組み、操業の目的で、船首0.5メートル船尾1.5メートルの喫水をもって、平成10年10月27日16時00分山口県大島漁港を発し、僚船とともに同県見島南方7.5海里ばかりのカキノ瀬付近の漁場に向かい、17時30分ごろ同漁場に到着して操業の後、翌28日03時30分操業を打ち切り、萩相島灯台から302度(真方位、以下同じ。)13.6海里の地点を発進し、空倉のまま帰途に就いた。
A受審人は、発航とともに、機関を11.0ノットの半速力前進にかけ、船橋左舷側に設置したいすに座って見張りにあたりながら進行し、04時30分ごろ山口県相島北西方3.0海里ばかりの地点に達したとき、5日間に及ぶ連日の日帰り操業で、夕刻出漁して未明に入港して水揚げを行うことを繰り返し、1日5時間程度の睡眠時間だったことから、眠気と疲労を覚えたものの、なお、いすに座ったまま続航した。

A受審人は、04時56分半少し過ぎ相島港D防波堤灯台(以下「D防波堤灯台」という。)から061度2.5海里の地点に達したとき、無線電話で網船の漁ろう長から山口県萩(中小畑)漁港で船団の水揚げ作業を手伝うよう指示を受け、これを了承して針路を156度に定めて自動操舵とし、機関を半速力前進にかけたまま、10.8ノットの対地速力で続航した。
A受審人は、05時05分同灯台から092度2.8海里の地点で、観音喰合瀬西灯浮標に向首して針路を143度に転じ、同灯浮標に接近したら手動操舵に切り替えるつもりで進行したところ、連日の操業による疲労から眠気を催したが、間もなく入港するから我慢できると思い、いすから立ち上がって手動操舵とするなり、操舵室の窓を開けて冷気を入れるなりして、居眠り運航を防止する措置をとることなく、依然としていすに座り、自動操舵としたまま進行した。

A受審人は、転針後間もなく居眠りに陥り、山口県尾島を替わって折からの風潮流によって左方へ6度圧流され始め、羽島北西方の海岸に著しく接近する態勢となったものの、これに気付かないまま進行中、和漁丸は、05時20分D防波堤灯台から114度5.1海里の地点において、羽島北西岸の岩場に原針路、原速力のまま乗り揚げた。
当時、天候は晴で風力3の南風が吹き、潮候は下げ潮の中央期で、視界は良好であった。
乗揚の結果、舵、推進器翼及び同軸を曲損し、船首船底及び左舷船底外板に破口を生じ、09時30分ごろ来援した起重機船によって吊り降ろされて山口県玉江漁港に引きつけられ、のち修理された。


(原因)
本件乗揚は、夜間、漁場から萩(中小畑)漁港へ帰航中、居眠り運航の防止措置が不十分で、風潮流によって圧流され、羽島に著しく接近する態勢で進行したことによって発生したものである。


(受審人の所為)
A受審人は、夜間、漁場から萩(中小畑)漁港へ帰航中、眠気を催した場合、居眠り運航とならないよう、いすから立ち上がって手動操舵とするなり、操舵室の窓を開けて冷気を入れるなりして、居眠り運航の防止措置をとるべき注意義務があった。しかしながら、同人は、間もなく入港するから我慢できると思い、居眠り運航の防止措置をとらなかった職務上の過失により、居眠りに陥り、風潮流によって圧流され、羽島に著しく接近する態勢で進行してこれに乗り揚げ、舵、推進器翼及び同軸を曲損して船首船底及び左舷船底外板に破口を生じさせるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。


よって主文のとおり裁決する。






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