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2000年(平成12年)

平成12年長審第37号
    件名
貨物船三笠丸乗揚事件(簡易)

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成12年9月22日

    審判庁区分
地方海難審判庁
長崎地方海難審判庁

平野浩三
    理事官
尾崎安則

    受審人
A 職名:三笠丸船長 海技免状:六級海技士(航海)
    指定海難関係人

    損害
船底外板に破口を伴う凹損、ビルジキール及び推進器翼が曲損

    原因
船位確認不十分

    主文
本件乗揚は、船位の確認が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。

適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
1 事件発生の年月日及び場所
平成11年1月23日19時30分
長崎県佐世保港
2 船舶の要目
船種船名 貨物船三笠丸
総トン数 168.95トン
登録長 24.68メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 169キロワット
3 事実の経過
三笠丸は、長崎県佐世保港と同県福江港間の飼料輸送に従事する木鋼船で、A受審人ほか2人が乗り組み、空倉のまま、船首0.6メートル船尾2.4メートルの喫水をもって、平成11年1月23日10時40分福江港を発し、積荷を行う目的で、佐世保港第1区干尽岸壁に向かった。
ところで、干尽岸壁は、佐世保港境界線から約10.5海里港奥の同港第1区の東岸に位置し、同岸壁に至る手前の長さ1,000メートル幅1,400メートルの水域の中央部東寄りには上ノチドリ瀬、大瀬、佐世保港弁天島灯台(以下「弁天島灯台」という。)のある丸瀬、チドリ瀬及び沖ノ曽根等の浅瀬群が存在し、浅瀬群の四隅にその存在を示す灯浮標が設置されていた。また浅瀬群とその東側対岸から150メートル張り出した岩礁との間の湾曲した水路は、海図上水深10ないし11メートル、長さ1,000メートル幅300メートルであった。

同日17時30分A受審人は、降雨の中を1人で航海当直につき、18時40分高後埼沖合の航路入り口に達し、機関を微速力前進とし、5.2ノットの対地速力で進行した。
19時05分A受審人は、庵埼沖合の弁天島灯台から183度2.2海里の地点において、針路を前示の湾曲した水路に向く009度に定め、引き続き5.2ノットの対地速力で、手動操舵により進行した。

A受審人は、針路を転じたとき、降雨が断続的であったことからこのまま進行して約1,600メートル先の湾曲した水路の入り口に達するまでには雨が弱まって周囲の物標が見えてくるものと思い、直ちに行きあしを停止し、視界の回復を待ってから確実に船位の確認を行うことなく進行した。

当時、天候は雨で風力3の北東風が吹き、潮候は上げ潮の初期で、視程は50ないし100メートルであった。

三笠丸は、乗揚の約30分後に自力離礁し、その結果、船底外板に破口を伴う凹損、ビルジキール及び推進器翼が曲損したが、のち修理された。

(原因)
本件乗揚は、夜間、佐世保港第1区において、湾曲した狭い水路に向けて航行中、降雨により目標物が見えなくなった際、船位の確認が不十分で、浅瀬に向けて進行したことによって発生したものである。


(受審人の所為)
A受審人が、夜間、佐世保港第1区において、浅瀬群とその東側の陸岸との間の長さ1,000メートル幅300メートルの湾曲した水路に向けて進行中、降雨により目標物が見えなくなった場合、浅瀬に著しく接近することのないよう、直ちに行きあしを停止して視界の回復を待って確実に船位を確認すべき注意義務があった。しかしながら、同人は、激しい降雨が断続的であったことから水路の入り口に達するまでには雨が弱くなって周囲の物標が見えてくるものと思い、確実に船位を確認しなかった職務上の過失により、激しい降雨の湾曲した水路を進行して乗揚を招き、船底外板に破口を伴う凹損、ビルジキール及び推進器翼に曲損をそれぞれ生じさせるに至った。






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