|
(事実) 1 事件発生の年月日時刻及び場所 平成11年7月13日13時20分 沖縄県竹富島南西方大原航路 2 船舶の要目 船種船名
旅客船第八十八あんえい号 総トン数 19トン 全長 18.40メートル 機関の種類 ディーゼル機関 出力
956キロワット 3 事実の経過 第八十八あんえい号は、軽合金製旅客船で、A受審人ほか1人が乗り組み、沖縄県西表島仲間港において旅客を乗せる目的で、船首0.7メートル船尾1.3メートルの喫水をもって、平成11年7月13日13時05分石垣港を発し、仲間港へ向かった。 A受審人は、沖西防波堤を航過したとき機関を全速力前進にかけ、竹富島南水路を経て大原航路を22.5ノットの速力で進行した。 A受審人は、13時16分半わずか過ぎ大原航路第8号立標を右舷側150メートルに見て針路を238度(真方位、以下同じ。)とし、同速力で続航していたところ、同時17分同立標から212度180メートルの地点に達したとき、突然豪雨となって視界が閉ざされたことから、機関を停止して停留を始めた。 A受審人は、レーダーを調整しても画面が真っ白となって船位を判断する手立てがなかったが、間もなく雨は降りやむものと思い、投錨仮泊して視界が回復するのを待つことなく、圧流されていることに気付かないまま、機関を微速力前進と停止を繰り返しかけて停留を続けた。 第八十八あんえい号は、風下の浅礁に向け圧流され、13時20分大原航路第8号立標から093度170メートルの地点において、船首を238度に向けて乗り揚げた。 当時、天候は雨で風力4の南西風が吹き、潮候はほぼ低潮期であった。 乗揚の結果、プロペラ翼に曲傷を生じ、のち修理された。
(原因) 本件乗揚は、石垣港から西表島仲間港に向け大原航路を航行中、豪雨となって視界が閉ざされ、レーダーに立標が映らず船位を確認できなくなった際、投錨仮泊して視界の回復を待たず、停留中に風下の浅礁へ向け圧流されたことによって発生したものである。
(受審人の所為) A受審人は、石垣港から西表島仲間港に向け大原航路を航行中、豪雨となって視界が閉ざされ、レーダーに立標が映らず船位を確認できなくなった場合、周囲に浅礁が散在する海域であったから、圧流されて浅礁に乗り揚げないよう、投錨仮泊して視界の回復を待つべき注意義務があった。しかるに、同受審人は、間もなく雨は降りやむものと思い、投錨仮泊して視界の回復を待たなかった職務上の過失により、圧流されていることに気付かないまま停留を続け、風下の浅礁に向け圧流せしめて乗揚を招き、プロペラ翼に曲損を生じさせるに至った。 以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。
よって主文のとおり裁決する。 |