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2000年(平成12年)

平成12年仙審第23号
    件名
漁船第三十七日東丸乗揚事件(簡易)

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成12年6月1日

    審判庁区分
地方海難審判庁
仙台地方海難審判庁

上野延之
    理事官
宮川尚一

    受審人
A 職名:第三十七日東丸船長 海技免状:五級海技士(航海)
    指定海難関係人

    損害
右舷後部船側外板に亀裂を伴う凹損

    原因
針路選定不適切

    主文
本件乗揚は、針路の選定が適切でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。

適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成11年7月14日01時20分
福島県小名浜港
2 船舶の要目
船種船名 漁船第三十七日東丸
総トン数 138トン
全長 38.52メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 647キロワット
3 事実の経過
第三十七日東丸(以下「日東丸」という。)は、大中型まき網漁業付属の鋼製運搬船で、A受審人ほか7人が乗り組み、砕氷約50トンを積み、船首1.20メートル船尾3.10メートルの喫水をもって、平成11年7月13日18時00分福島県小名浜港を発し、同港東方19海里沖合の漁場に至って魚群探索中、天候の悪化が予想されたので操業を切り上げ、22時50分同漁場を発進して帰途に就いた。
ところで、A受審人は、基地としている小名浜港の入出航に際し、漁場が同港より北であれば主に小名浜港三埼防波堤灯台(以下「三埼灯台」という。)のある三埼防波堤西端と三埼第2波除堤南東端との間の防波堤入口を通り、小名浜港三埼波除堤灯台のある三埼波除堤南端を替わしたのち、東防波堤と小名浜港第1西防波堤東灯台(以下「東灯台」という。)のある第1西防波堤東端との間の、可航幅43.5メートルの東側出入口(以下「東入口」という。)を通っていた。

A受審人は、発進時から甲板員を2時間の輪番制として見張りに配し、自ら船橋当直に当たり、翌14日01時00分小名浜港に近づいたので入港配置を令して見張りの甲板員を降橋させ、霧がかかって視程が200メートルであったことから、レーダーを1.5海里レンジにしてレーダー画面を監視しながら単独で操舵操船に当たり、同時15分三埼灯台から269度(真方位、以下同じ。)68メートルの地点で、針路を033度に定め、機関を微速力前進にかけ、4.2ノットの対地速力で手動操舵によって進行した。
01時17分少し過ぎA受審人は、東灯台から186度260メートルの地点に達したとき、針路を038度に転じ、同時19分少し前同灯台から141度145メートルの地点で、針路を000度に転じ、同時19分少し過ぎ同灯台から120度100メートルの地点に達したとき、針路を東入口の東防波堤西端寄りに向く320度に転じたところ、同端に著しく接近するおそれがあったが、同端に並んだら右舵一杯にとって同端を替わせば安全に東入口を航過できるものと思い、同入口中央に向かう適切な針路を選定することなく、これに気付かず、そのまま続航した。

01時20分わずか前A受審人は、船首が東防波堤西端を替わったとき、右舵一杯にしたものの、船体が同端に接近するので機関を全速力後進としたが及ばず、01時20分東灯台から037度50メートルの水面下の東防波堤西端に325度を向首して3.2ノットの前進惰力で乗り揚げた。
当時、天候は霧で風力1の南南西風が吹き、潮候は上げ潮の中央期で、視程は200メートルであった。
乗揚の結果、右舷後部船側外板に亀裂を伴う凹損を生じたが、のち修理された。


(原因)
本件乗揚は、夜間、小名浜港の東入口から入航する際、針路の選定が不適切で、東防波堤西端に著しく接近したことによって発生したものである。


(受審人の所為)
A受審人は、夜間、小名浜港の東入口から入航する場合、東防波堤西端に著しく接近しないよう、同入口中央に向かう適切な針路を選定すべき注意義務があった。しかるに、同人は、東防波堤西端に並んだら右舵一杯にとって同端を替わせば安全に東入口を航過できるものと思い、適切な針路を選定しなかった職務上の過失により、同端に著しく接近して乗揚を招き、右舷後部船側外板に亀裂を伴う凹損を生じさせるに至った。






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