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(事実) 1 事件発生の年月日時刻及び場所 平成11年1月25日08時34分 沖縄県平良港 2 船舶の要目 船種船名
貨物船第三あおば丸 貨物船フ クオ シン 総トン数 499トン 4,556トン 全長 76.17メートル
106.32メートル 機関の種類 ディーゼル機関 ディーゼル機関 出力 1,470キロワット
2,869キロワット 3 事実の経過 第三あおば丸(以下「あおば丸」という。)は、船尾船橋型貨物船で、船長Bほか4人が乗り組み、橋げた1,120トンを揚荷する目的で、船首2.8メートル船尾4.4メートルの喫水をもって、平成11年1月25日07時45分平良港第1埠頭第3号岸壁(以下、埠頭の名称については「平良港」を省略する。)に、船首を132度(真方位、以下同じ。)に向けて左舷付け接岸した。 あおば丸が揚荷を行っていたところ、08時34分平良港北防波堤灯台(以下「北防波堤灯台」という。)から103度780メートルの地点において、あおば丸の右舷後部にフ クオ シン(以下「フ号」という。)の左舷船尾が、前方から63度の角度で衝突した。 当時、天候は曇で風力2の北北東風が吹き、潮候は上げ潮の初期であった。 また、フ号は、船尾船橋型貨物船で、船長Cほか14人が乗り組み、川砂6,000トンを載せ、船首6.58メートル船尾6.98メートルの喫水をもって、同月23日16時12分(現地時刻)台湾花連港を発し、翌24日17時00分平良港に入港した。 A指定海難関係人は、フ号の荷役設備が左舷側にあるので、同号を第2埠頭第2号岸壁に出船左舷付け接岸することを依頼され、翌25日06時50分フ号に乗船し、乗組員を入港配置につけ、07時10分北防波堤灯台から358度1,600メートルの錨泊地点を発し、機関を種々に使用して2.0ノットの対地速力で進行した。 A指定海難関係人は、これまで第2埠頭第2号岸壁に6回ばかり出船左舷付けで接岸した経験があり、第2埠頭と対岸の第1埠頭間の距離が160メートルと狭いことから、安全な操船方法として、両埠頭間の入口から250メートルばかりのところで左転を始めて態勢を整えた後、後進して接岸していた。 07時40分A指定海難関係人は、北防波堤灯台から207度110メートルの地点において、針路を092度に定めたところ、左舷前方から引船列が来航するのを認めた。 A指定海難関係人は、これまでどおり左転したのち後進して接岸するつもりであったが、回頭水域で引船列と左舷を対して行き会うことから、右回頭して接岸することとし、引船列の航過を待たず、そのままの針路、速力で進行し、07時46分北防波堤灯台から110度330メートルの地点で、右回頭を始めるとともに減速して続航した。 A指定海難関係人は、08時14分北防波堤灯台から110度690メートルの地点に達したとき、右舷錨を投じ、間もなく左舷船首よりスプリングラインをとり、その後、舵と機関を種々に使用して右回頭を続けているうち、左舷側中央部が第2埠頭北端に接近したので、左舵一杯をとり、機関を極微速力前進にかけた後停止したところ、緊張したスプリングラインに引かれて後進した。 08時33分少し過ぎA指定海難関係人は、船尾配置の二等航海士からあおば丸に近い旨の報告を受け、機関を微速力前進にかけたが及ばず、フ号は195度に向いて前示のとおり衝突した。 衝突の結果、あおば丸は、両舷船尾外板に凹損及び右舷船尾のハンドレールに曲損を生じたが、のち修理され、フ号は、左舷船尾に擦過傷を生じた。
(原因) 本件衝突は、平良港において、フ号が、第2埠頭第2号岸壁に接岸の目的で入港中、埠頭近くの回頭水域で行き会う第三船を認めた際、同船の航過を待たず、態勢を整えて接岸する安全な操船方法をとらないまま接岸作業に従事中、あおば丸に著しく接近したことによって発生したものである。
(指定海難関係人の所為) A指定海難関係人が、平良港において、第2埠頭第2号岸壁に接岸の目的で入港中、埠頭近くの回頭水域で行き会う第三船を認めた際、同船の航過を待たなかったことは、本件発生の原因となる。 A指定海難関係人に対しては、勧告しない。
よって主文のとおり裁決する。
参考図
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