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2000年(平成12年)

平成11年横審第105号
    件名
漁船益吉丸漁船幸昇丸衝突事件

    事件区分
衝突事件
    言渡年月日
平成12年9月19日

    審判庁区分
地方海難審判庁
横浜地方海難審判庁

半間俊士、吉川進、西村敏和
    理事官
葉山忠雄

    受審人
A 職名:益吉丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
B 職名:幸昇丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
益吉丸・・・損傷なし
幸昇丸・・・船体前部を圧壊、修理不能で廃船

    原因
益吉丸・・・見張り不十分、船員の常務(避航動作)不遵守(主因)
幸昇丸・・・見張り不十分、注意喚起措置不履行(一因)

    主文

受審人Aを戒告する。
受審人Bを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年7月3日03時00分
三重県島勝漁港沖合
2 船舶の要目

3 事実の経過

ところで、島勝漁港は、島勝浦と称する、北東に開いた入り江の南東側にあって、島勝灯台のある中ノ鼻陸岸と同漁港のある東側陸岸に囲まれ、その東端となる合口鼻までの1,500メートルばかりにわたる陸岸沖には陸岸から200メートルばかりの幅で浅礁域が広がっていた。


当時、天候は晴で風はほとんどなく、潮候はほぼ高潮時であった。
また、幸昇丸は、一本釣り漁業に従事する木造漁船で、B受審人が1人で乗り組み、船首0.5メートル船尾0.6メートルの喫水をもって、同日02時30分島勝漁港を発し、同時35分前示衝突地点付近に至り、前日夕刻仕掛けておいた車えび刺網の揚網に掛かった。



(原因)


(受審人の所為)
A受審人は、夜間、島勝漁港から沖合漁場に向けて航行するにあたり、港外に達して、機関を微速力前進から全速力前進に上げる場合、前路で停留中の他船を見落とさないよう、前路の見張りを十分に行うべき注意義務があった。しかしながら、同人は、出漁している他船はいないものと思い、前路の見張りを十分に行わなかった職務上の過失により、前路で操業中の幸昇丸に気付かないまま同船を避けずに進行して衝突を招き、幸昇丸の船体前部を圧壊させるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して、同人を戒告する。

以上のB受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して、同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。

参考図






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