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2000年(平成12年)

平成10年門審第124号
    件名
プレジャーボート素涛プレジャーボートオズ衝突事件(簡易)

    事件区分
衝突事件
    言渡年月日
平成12年6月29日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁

原清澄
    理事官
新川政明

    受審人
A 職名:素涛船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
B 職名:オズ船長 海技免状:四級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
素涛・・・操舵室上部などを損傷、船長と同乗者2人が軽度の打撲傷
オズ・・・プロペラに曲損

    原因
オズ・・・追い越しの航法(避航動作)不遵守(主因)
素涛・・・見張り不十分、注意喚起信号不履行、追い越しの航法(協力動作)不遵守(一因)

    主文
本件衝突は、オズが、追い越す態勢の素涛の進路を避けなかったことによって発生したが、素涛が、見張り不十分で、有効な音響による注意喚起信号を行わず、衝突を避けるための協力動作をとらなかったことも一因をなすものである。
受審人Bを戒告する。
受審人Aを戒告する。

適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年5月5日09時30分
福岡県遠賀川河口
2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボート素涛 プレジャボートオズ
登録長 7.22メートル 6.34メートル
機関の種類 ディーゼル機関 電気点火機関
出力 58キロワット 84キロワット
3 事実の経過
素涛は、航行区域を限定沿海区域とし、ダイヤフラムホーンを所持するFRP製プレジャーボートで、A受審人が1人で乗り組み、きすを釣る目的で、同人の縁者4人を同乗させ、船首0.38メートル船尾0.85メートルの喫水をもって、平成10年5月5日09時15分福岡県遠賀郡芦屋町を流れる遠賀川支流の、芦屋港北防波堤灯台(以下「北防波堤灯台」という。)から125度(真方位、以下同じ。)1.5海里ばかりの係留地を発し、同町沖合の釣り場に向かった。
09時27分A受審人は、芦屋橋を抜け、北防波堤灯台から100.5度1,570メートルの地点に達したとき、針路を河口に向く325度に定め、機関の回転数を毎分1,500にかけて6.0ノットの対地速力とし、手動操舵で進行した。

09時29分A受審人は、北防波堤灯台から089.5度1,330メートルの地点に達したとき、正船尾30メートルばかりのところに、自船を追い越す態勢のオズを視認することができたが、後方から接近する他船は自船を避けて航行するものと思い、後方の見張りを十分に行うことなく、接近する同船に気付かないまま続航した。
その後、A受審人は、オズが衝突のおそれがある態勢で更に接近したが、有効な音響による注意喚起信号を行うことも、衝突を避けるための協力動作をとることもできないまま、原針路、原速力で進行中、09時30分わずか前工事中のなみかけ大橋を過ぎて間もなく、船尾至近に迫った同船を認めたが、どうする暇もないまま、09時30分北防波堤灯台から082度1,240メートルの地点において、素涛の船尾に、オズの船首がほぼ平行に衝突した。
当時、天候は晴で風はほとんどなく、視界は良好であった。

また、オズは、航行区域を限定沿海区域とするFRP製プレジャーボートで、B受審人が1人で乗り組み、同人の弟1人を同乗させ、きす釣りをする目的で、船首0.40メートル船尾0.42メートルの喫水をもって、同日09時26分半北防波堤灯台から099度1,700メートルばかりの、芦屋橋上流のヨットハーバーを発し、芦屋町沖合の釣り場に向かった。
09時27分B受審人は、北防波堤灯台から102.5度1,620メートルの地点に達したとき、針路を先航する素涛の正船尾に向く325度に定め、機関回転数を毎分1,500にかけて6.8ノットの対地速力とし、手動操舵で進行した。
09時29分B受審人は、北防波堤灯台から090.5度1,350メートルの地点に達したとき、正船首30メートルのところに素涛の船尾を視認する状況となったが、先航する他船がなみかけ大橋を過ぎれば速力を上げていたところから、素涛も速力を上げるものと思い、速やかに同船との航過距離を十分にとるなどの進路を避ける措置をとることなく、針路と速力を保ったまま続航し、同大橋を通過して間もなく、素涛が原速力を維持したままであったところから、同船と著しく接近する状況となり、慌てて機関を全速力前進にかけて右舵一杯としたが、及ばず、原針路、原速力のまま、前示のとおり衝突した。

衝突の結果、素涛は、操舵室上部などを損傷し、オズは、プロペラに曲損などを生じたが、のちいずれも修理された。また、A受審人と素涛の同乗者2人が軽度の打撲傷を負った。

(原因)
本件衝突は、福岡県遠賀川河口において、オズが、追い越す態勢の素涛の進路を避けなかったことによって発生したが、素涛が、後方の見張り不十分で、有効な音響による注意喚起信号を行わず、衝突を避けるための協力動作をとらなかったことも一因をなすものである。


(受審人の所為)
B受審人は、福岡県遠賀川河口において、釣り場に向けて航行する際、前路に同航する素涛を認めていた場合、先航する素涛と徐々に接近する状況にあったから、同船に著しく接近して衝突のおそれがある態勢とならないよう、速やかに同船との航過距離を十分にとるなどの進路を避ける措置をとるべき注意義務があった。しかるに、同人は、先航する他船がなみかけ大橋を過ぎれば速力を上げていたところから、素涛も速力を上げるものと思い、進路を避ける措置をとらなかった職務上の過失により、素涛に著しく接近して同船との衝突を招き、同船を冠水させて機関に濡損を生じさせるに至った。
A受審人は、福岡県遠賀川河口において、釣り場に向けて航行する場合、同航する他船が多数いることを知っていたのであるから、自船の後方から著しく接近する態勢の他船がいれば有効な音響による注意喚起信号などを行えるよう、後方の見張りも十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、後方から接近する他船は自船を避けて航行するものと思い、後方の見張りを十分に行わなかった職務上の過失により、後方の見張りを行わないまま進行してオズとの衝突を招き、前示損傷を被るに至った。


参考図






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