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タービンノズル流路面積を変えて動翼への流入速度を変化させ、タービンの流量特性を調整する方法は、タービンをエンジンにマッチングさせる手法として一般的に採用されている。VGS(Variable Geometry System)と呼ぶ可変ノズル機構を採用したターボ過給機は、エンジンの回転速度に応じてタービンノズルの流入面積を変化させ、広い回転範囲でターボ過給機の特性をエンジンにマッチングさせることを狙って商品化されている。しかし同一の動翼に対してタービンノズルの流量特性を幅広く変化させると動翼での膨張の度合いが低下し流出損失が低下する。自動車用VGSターボ過給機は低速域での高いブースト圧力を得る代償として低速域では10〜15%ものタービン効率が悪化が生じている。

作動点での高効率の実現を目指している本プロジェクトでは、幅広い運転条件での高効率は必ずしも必要では無い。しかしながらエンジンの体積効率、最適な吸気圧力はエンジンの燃焼改善が進むとともに変化する。高い効率を維持しつつ流量特性を自由に制御することがエネルギー回収システム用のタービン開発には非常に重要である。

当初は流出角度を変化させて流量特性のマッチングを計る予定であったが流出角度を幅広く変えることは動翼成立の面から制限があることが分かった。

そこで動翼の流量特性の調整手段として動翼出口径を変化させることを検討した。タービンノズルの流路面積の変化に対応して動翼出口径を変えると動翼の流出面積も変化するのでタービンノズルと動翼の流量特性のアンバランスによる流出損失の増大を防止できる。表5.5、表5.6に動翼出口径の変化とノズル流出面積の変化を比較して示した。これらの組み合わせにより高効率を維持したまま流量特性を自由に調整する事を狙う。

 

補足資料Bにタービンシャフト、スクロール、静翼、流出部アダプターの図面を示す。

 

(4) 試験装置

外部のタービン試験機を借用する計画であったが事情により今年中の借用は不可能となった。そこでディーゼルエンジン発電ユニットを使用してタービン試験する装置を作成した。図5.14に装置概略図を表5.7に測定項目を示す。

 

(5) 試験結果

 試験結果を表5.8及び図5.15、図5.16に示す。既存ターボ過給機のタービン最高効率75%に対して試作タービンの効率は80%となりほぼ目標を達成できた。タービン出口径を小さくしてA/Rの小さい静翼を組み合わせることによりわずかの効率低下で同一圧力比での流量を低減できることが実証できた。

 

 

 

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