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2番目が今日の主たるテーマである「新しいビジネスモデル」ということで、ビジネスモデルというものを通じて、大きく産業が変化していくべきである、という考え方をお話しします。3番目は、最後にこれをまとめる形で、ビジネスモデルが果たす役割について整理をしたいと思います。

本論に入る前に、ちょっとクイズです(資料2頁)。本当なら動画で持ってくればよかったのですが、その辺はまさに文系ですので、どうすれば動くのかよくわからなかったものですから。これはBoidといいます。このように、ビルの谷間を鳥の群れが滑らかに動くもので、人工生命の一分野であり、よくコマーシャルなどで見かけます。コンピュータ・シュミレーションにより動いていますが、群れとして全体が滑らかに動きます。どういうメカニズムで動いているのか、これがクイズです。解答は最後にお話ししたいと思います。

鳥の群れですから、1羽が一つの企業だとすると、群れ全体で一つの産業だと思っていただければいいでしょう。鳥の群れ、すなわち、産業が、真ん中にある大きなビルにぶつかろうとするところで、全体が滑らかに向きを変えていく。それは、産業自体が変化しながら、時代に適応していくイメージではないかと思います。鳥の群れを企業と考えていただいてもいいかもしれません。社員一人ひとりが、それぞれの動きをしながら、全体として滑らかに時代の変化に合わせる。これは、一体どういうメカニズムあるいはモデルで動いているのかというのがクイズです。

ヒントを申し上げますと、これは純粋な数学モデルで出来上がっています。ルールは三つです。その三つのルールをセットして動き出させることで、あとは自然にこのような動きをします。問題はその三つのルールとは何かで、それを最後に解答としてお話しします。

「ITがもたらす変革」は大きく二つの部分に別れます。まず、IT産業自体にもたらす変革です。IT産業には、電気通信、コンピュータ、ソフトウェア、場合によってはエレクトロニクスも入れていいと思います。そういう産業自体で、競争のルールが変わるということです。これを整理して、四つほどポイントをあげました(資料3頁)。

一つは、「メガ・コンペティションによる競争と協調」です。コ・オペレーションとか、私自身の造語ですがC&Cなどと言っていました。今までは単に競争するだけだった世界、その中に、「お互い協調しながら」という部分が加わってきたという意味で、「メガ・コンペティションによる競争と協調」が、一つのキーワードになります。

 

 

 

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