東京財団国際フォーラム
「日本発マンガ・アニメーションのダイナミズム」
総括
日本のマンガ、アニメーションは、下記1の環境のもと独自の発展をとげ多種多様な作品が生まれた。それらはゲーム、キャラクター製品などの関連産業と結びつき、我が国に莫大な経済的恩恵をもたらしている。
また、日本の作品・商品は国内のみならず世界各国で楽しまれており、日本文化に対する関心を高めるとともに、各国の文化そのものに影響を与えている
IT時代に欠かせないコンテンツであるマンガやアニメーションなどの経済的・文化的影響力、知的媒体としての可能性を深く理解し、本分野の発展に必要な施策を各分野で検討、推進することが必要である。
1. 日本においてマンガ、アニメーションが発展した背景
1] 大衆消費社会、
2] 表現に関する規制が少ないこと、
3] 漢字文化(象形文字に対する親和)、
4] 非言語コミュニケーションの是認、
5] 多神教的宗教観、
6] 流入した文化を融合・純化する国民性、
7] 作家の情熱独立心、
8] 予算的な制限(実写がとれない)
2. 日本のマンガ、アニメーションが海外に広まった理由
1] 海外での作品数が絶対的に少ないこと、
2] キャラクターの無国籍性、
3] 多種多様で質の高い作品群、
4] 反日感情世代の減少・日本への憧れ、
5] 技術的な特殊性・めずらしさ(平面的な絵、透過光、カメラワーク)、
6] 海賊版の存在(駆逐しなかったため安価で買いやすいコピー製品が広まった)、
7] 作品に流れる日本的精神が現代に合致していた
3. 日本のマンガ、アニメーションによる海外への影響
1] 日本文化に対する理解促進・関心向上、
2] 国独自作品との融合、
3] 文化をベースにしたアイデンティティの創出(国家の求心力)
4. 今後の課題
1] 国家的に重要な分野であることを認知し、産官学をあげ支援する。
ポップカルチャーこそがIT時代の「中身」であり、その成長は国益に資する。
業界や省庁の枠に囚われない施策を立案すること。
例) ・人材育成/交流、・優遇税制、・著作権問題、・起業環境の改善、・製作現場・人材の海外流出に対する対応、・効果的なイベント編成、・専門的な調査研究機関設立
2] 作品の陳腐化を防ぐため、海外作品の流入に寛容であり続けること
相互交流、混合により新しい文化が誕生する。自国の作品、キャラクターを他国で育てることも大切。
以上、事務局まとめ