IV. 海上観光事業の事業特性
神戸港及び他地域の観光航路のヒアリング結果等を踏まえて、海上観光事業の特性について、以下に整理する。
1. 航路の形態
海上観光航路の形態は、概ね以下の3つに分類できる。
(1) レストラン船
・船内での食事を主とするもの。
・船内でのイベントやチャーター利用(団体、婚礼)を行っている事例が多い。
・時間的には1.5時間〜2.5時間程度。1日3便程度の事例が多い。
(2) 観光遊覧船
・基本的に同一の港に発着し、海からの景観を楽しむもの。
・航行時間は、1時間弱程度のものが多い。
・認可は2点間アクセスでも実際は観光利用の場合もある。
(3) 観光地アクセス船
・交通拠点から観光地への移動手段となるもの。
2. 海上観光航路の事業特性
海上観光事業に共通した一般的な特性は、以下のように整理できる。
●需要が特定日・時間帯に集中しやすい
・観光航路という性格上、休日の利用が多くなる。また、季節的にも冬季の利用が少なくなる。
→平日の利用が事業採算上の大きな課題になるほか、人員の臨機応変な配置にも留意する必要がある(人件費が固定コストとなると苦しい)。
●不定期航路が多い
・需要が集中するという性格から、繁閑に応じた配船を行うために不定期航路(運航ダイヤを運航予定時間とする)としている場合が多い。チャーター利用も多いことから、不定期船としている場合が多い。
●団体利用やリピーターの獲得が採算上の大きな鍵となる
・一定数の利用数確保が見込める団体客は、各社とも営業に力を入れている。ただし、一般個人客とのバランスにも留意する必要がある。
・また、リピーターの確保に成功している事例が採算的にも比較的良好な場合が多い。