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まえがき

 

本日は、海洋科学技術センターが主催致します「極限環境微生物ゲノム国際シンポジウム」にご参加下さいまして、誠に有り難うございます。

海洋科学技術センターを代表致しまして、厚く御礼申し上げます。特に、遠く海外からご参加下さいました方々に、心より感謝申し上げます。

 

本シンポジウムは、極限環境微生物とそれに関連致しますゲノム科学に関しまして、世界の最先端の研究の情報を交換し、次の発展に資するために企画されました。当センターの「深海環境フロンティア」は、この研究分野を意欲的に展開致しておりまして、今回のシンポジウムも当フロンティアが中心に進めてきたものでございます。

 

海洋科学技術センターでは今、「深海地球ドリリング計画」、通称OD―21が進行中でございます。

この計画は、地震発生の原因究明や地球環境変動の研究など、地球物理学や地質学などの研究を目的としておりますが、もう一つ重要な研究テーマは「地下生物圏」であります。地殻内には、これまで地上や海洋では決して出くわすことのなかった、新規な微生物が棲息していることが期待されます。そして、これらの微生物は、紛れもなく「極限環境微生物」であります。全く新しい地殻内微生物の科学への貢献、例えば生命の起源研究に対する寄与と、その産業利用としての新しいバイオテクノロジーへの期待は、大変大きいものがあります。

 

ゲノム科学は現在、塩基配列を決める研究段階から、決まった配列情報を利用して、基礎科学と応用に役立てる段階へと進みつつあります。ゲノム科学のこの様な現状を鑑み、海洋科学技術センターでは「深海バイオベンチャーセンター」を本年4月より設置し、活動を開始致します。本ベンチャーセンターは、深海の極限環境微生物と、そのゲノム情報の産業への応用を目的として設立されました。企業からの研究員の受け入れ、センター設備のオープンラボ、企業研究者への技術指導等の活動を行います。ご参集の皆様方の会社で、ご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非ベンチャーセンターの活動にご参加頂きましたら幸いでございます。

 

地下生物圏も視野に入れた、極限環境微生物の研究が始まろうとする時、本シンポジウムが開催されますことは、大変時宜を得たものであると存じます。本シンポジウムが、実り多く、有意義でありますことをお祈り致しまして、私のご挨拶とさせて頂きます。

 

平成13年1月23日 開会挨拶要旨

 

海洋科学技術センター

理事長 平野拓也

 

 

 

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