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魚釣(うおつり)島

(海図1203分図)

 

黄尾嶼の南西方約27kmにあって、この島の付近には一群の小島や岩がある。魚釣島は尖閣列島中最大の島で、形はナマコによく似ている。北東方遠方からは東西の二つの鋭峰及びその中間付近にある突出岩は良く目立つ。

尾根にはとがった岩が突き立っていて非常に険しく、その少し下方は他の尖閣の島々とは異なりビロウ等の喬木が生い茂るジャングルの様相を呈している。また、東西に走る尾根は南側に偏っているため、島の南岸はびょうぶを立てたような険しいがけを成し岩層がはっきり分かる。

島岸は、一般に砂浜と岩場とが交互に連なり、南岸を除いて、岸からわずかの距離ではあるがとがった凸凹の岩棚に囲まれている。

島の周囲は距岸約400mの所で水深20m以上となるので、船舶はその付近までは近づけるが、錨泊に適する所はなく、しかも黒潮が非常に強いので、付近で漂白するときは十分注意を要する。

島の北西〜北東側の海岸には、各所に小規模な沢(谷)水や湧水が散在し、西部にある流れは硫黄分があるためか白っぽい。また、島内には泉もあるという。

島の付近には魚類が多く、漁期には毎年沖縄方面から漁民がカツオ漁に集まる。

この島には野生化した多数のヤギが生息しているほかアホウドリ、シギ、ハト、サギ、スズメ、ヒヨドリなどの鳥類やカ、ハエ、スズムシ、マツムシ、ホタルなどの昆虫やヘビ、トカゲも生息しているという。

毒ヘビはいないが、体長2.5m内外の大きなヘビがいるという。

 

黄尾嶼(こうびしょ)〔久場島(くばしま)〕

(海図1203分図)

 

赤尾嶼の西方約87kmにあるほぼ円形の小火山島(活動していない)である。島頂は島のほぼ中央にあって噴火口を持ち、その内壁を約20m下った火口底には低い樹木が密生している。

島頂の北側にもほとんど同じ高さの頂があり、また、島の南東端付近にある高さ54mの頂は海岸近くにあるからよく分かり、これらの山頂にはいずれも噴火口の跡がある。

島岸は黒色をした高さ15〜31mの険しい溶岩のがけから成り、砂浜はない。

島には草木が繁茂している。沿岸は急深であるが、溶岩の水上岩、洗岩、暗岩などが至る所に散在しているため、うねりやいそ波のないときでも接岸上陸は極めて危険とされている。わずかに島の西岸に人口のくぼみがあるというが、ボート1隻をようやく着けられる程度のもので、風波のあるときはそれさえも不可能になるという。

島の周囲は距岸750m付近で水深20m以上になるが、風下側の避泊は困難であるという。ただし、島の西側で、距岸1.5km付近の水深34〜45m(底質粗いさんごと砂)の小区域には、どうにか錨泊できるという。

山腹から山頂にかけては、ビロウの木に覆われて、その樹間に低い木が密生している。また、島の北側で水深45mの所にも錨地が得られるという。

黄尾嶼には、アホウドリ、メジロ、野生のネコ、トカゲなどが多数いる。この近海では、カツオ、サワラ、フカなどが多量に捕れる。

また、山の中腹から下方には、密生した低い木や雑草の中にユリやサツマイモの混生している所があるが、これは恐らく昔この島に住んでいた人が漁業のかたわら、野菜を栽培していたものと思われる。戦前には、島の南西部に四、五戸の小屋があったという。

なお、この島には天水のほか、清水はない。

 

海流

黄尾嶼の周囲では黒潮の流れが非常に強く、平穏なときでも波が立って操船が困難となることがある。

海流の流向は風向に左右されることが多いが、一般に北東方へ流れ、その流速は1〜2knである。ただし、南風の連吹するときは、さらに流速は増大する。上げ潮時の流れは1〜2.5knで北北東方へ、下げ潮時には1〜1.5knで東方へ流れるという。

注意

在日アメリカ合衆国軍海上訓練区域の水域(黄尾嶼の陸岸の前面から100m以内の区域、空対地射爆撃訓練)があり、使用期間中漁業及び立ち入りが禁止される。

 

赤尾嶼(せきびしょ)〔大正島(たいしょうしま)〕

(海図1203)

 

宮古島北端の北北西方約130kmに孤立している東北東〜西南西方に長い溶岩の島で、樹木もなく、島岸は切り立った険しいがけで上陸はできない。島の頂部は大体東・西二つの突起部に分かれ、東方にあるものはやや平たい台地状を成しているが、西方にある岩頭は鋭くとがっていて非常に目立つという。この島は遠方からは、帆走している和船のように見える。島の頂部には緑草が生え、海鳥がいるという。

島は平低な岩棚に取り巻かれており、その間に幾つかの割れ目があって所々白波が立つ。また、島の北側では、岩棚の外側に幾つかの大岩石が点在し、その中に観音像に似た形をして著し<とがって直立した岩がある。島の周囲は、険礁や急潮のある部分を除き、一般に急深である。

 

急潮

赤尾嶼の西端からその西南西方約1.1kmまでの間及び島東端から東北東方約0.8kmまでの間には、それぞれ急潮がある。

険礁

島の西端の西南西方約200mに水深1.5mの浅礁があり、常に白波が立つという。この付近にはさらにほかの険礁があるかもしれないのであまり近づかないように注意を要する。

注意

在日アメリカ合衆国軍海上訓練区域の水域(黄尾嶼の陸岸の前面から100m以内の区域、空対地射爆撃訓練)があり、使用期間中漁業及び立ち入りが禁止される。

 

 

 

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