2. 2000年に実施したMIRCの事業(2000年1月〜12月)
MIRCの行っている事業の中心は、日本財団の補助による「海洋データ研究」事業(1997〜2001)である。この他にも、科学技術庁の科学技術振興調整費「北太平洋亜寒帯循環と気候変動に関する国際研究」(第I期1997〜1999、第II期2000〜2001年度)の一環である「高精度海洋データ整備のための品質管理手法の研究」(第I期)、および「表層循環変動と吹送流評価に関する研究」・「データベースの構築等に関する研究」の委託調査研究を実施してきている。また、1998・1999年度に引き続き、2000年度も社団法人全日本トラック協会の受託事業を受け、2000年度は「海洋中の二酸化炭素データのデータベース化に関する研究」を実施している。短期の受託事業としては、海上自衛隊から、「海洋循環モデルに関する技術調査」、環境庁国立環境研究所から、「定期船舶を利用したモニタリング―観測データ公開に関するデータ処理業務」を実施したが、この他の受託事業として、海洋科学技術センターから、「黒潮循環系及び熱帯西太平洋・インド洋の海洋データ品質評価」を受けている。
この章では、2000年1月から12月までの海洋情報の品質管理・提供にかかわる事業を中心に扱い、普及啓蒙関連・国際協力関連の活動は章を改めて述べる。また、本年1月から3月末までの活動については、昨年発行のMIRC活動要覧の記事と重なるので、ここではほとんど触れない。また、2000年におけるMIRCの歩み、MIRCの研究業績についても章を改めて述べる。
2-1. 「海洋データ研究」
日本財団の補助による「海洋データ研究」は、1997年度から始まる5ヶ年計画のもとで実施されている。その事業年次計画を概念的に示したのが図1である。データベースの最新維持、あるいはメタデータ(属性データ)の付加等のいわばルーチン・ベースの仕事については、ここでは説明を割愛して、1999年度より開始された「海流データ」に関する品質管理ソフトの開発事業、「水深データ」の管理処理とデータセット設計、「水温アトラス・データセット」の各事業、2000年度から開始された潮汐・潮流関連の事業について、その概要を紹介する。
2-1-1. 海流データ関連事業
品質管理ソフト開発
1999年度末までに、ADCP(音波ドップラー流速計)データの品質管理ソフトの開発を一応終了した。海流の計測手段には種々のものがあるが、MIRCでの海流データの品質管理の事業においては、ADCPデータに重点をおいてきた。その理由は、現在、海上保安庁に所属する測量船や巡視船のほとんどがADCPを備えており、膨大な測流資料がすでに集められ、また今後得られることが予想されるからである。
