日本財団 図書館


2.2 海域区分の検討

 

一般に衛星観測によるデータはグローバルに分布するが、観測水深データは陸地周辺や航路に沿って偏在する。衛星アルチメーター・データから海底地形を推定するのに有利な海域としては、次の条件を満たしていることが望ましい。

 

A. 信頼できる観測水深データが水深予測に十分な程度存在すること

観測水深データの分布が疎ならば補間による誤差が大きくなると予想される。逆に衛星データから推定するよりもそのまま補間したほうがよい程に均質かつ密な分布の場合もありうる。本研究では適当と思われる海域を目視で選んだ。

 

B. 地形の変化が比較的穏やかで海溝や海山のピーク等を含まないこと

高度数百kmで観測する衛星重力データの信号は短波長では減衰している。そのため、海山のピークのような急激な水深変化に対しては相関が低くなる。また、海溝では沈み込むスラブのため重力と水深の分布がずれることが船舶観測によって確認されている。(海溝でのこのずれは昨年度の本研究でも三陸沖において確認された。)

 

C. 堆積層厚が薄いこと

堆積層が厚いと地殻〜堆積層〜海水の密度の変化が滑らかになるため水深と重力の相関が低くなることが予想される。Smith and Sandwell (1994)では特に堆積層厚が200mを超える海域において顕著な相関の低下が示唆されている。

G1806付近の堆積層厚分布(図2-4)と重力と水深の間の伝達関数Sの分布(図2-5)を示す。(伝達関数Sの説明は後述する。)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION