船漕ぎ競争
奄美本島を中心に奄美諸島の多くでも、現在は「船漕ぎ競争」と呼ばれている。古くは「浜下り」「浜下れ」と呼ばれる旧暦5月4日の住民行事だったようであり、奄美本島の大和村や住用村などにわずかに残っている程度だ。現在では「浜下り」行事の際に行われた船漕ぎ競争が、ほぼ市町村単位にまとまって、年回のイベント行事になっている。
船漕ぎ競争では、漕ぎ手は進行方向に向かって前向きに座って櫂(短い櫂)で漕ぐ。舵はなく、ハーリー同様、最後部左舷の漕ぐ手が方向を決めたり、船を180度回転させるときに役割を果たす。その限りではハーリーとよくにているが、船に沖縄のサバニでなく、奄美改良型のアイノコを使うところが違う。ただ瀬戸内町だけは現在もイタツケという奄美独特の船を現在もつかっている。乗り手は、漕ぎ手が6人、笛吹が1人、漕ぎ手と同じ櫂をもってする舵取りが1人の合計8人である。この地域でも競漕用の船がどんどんFRPに変わっていく。