2) 市町村へのアンケートについて
北海道のような『船競漕』に関して情報の少ない地域については、市町村あてのアンケートが有効であった。ただ観光担当部署へお願いしたため、過去にあって、現在なくなっているものについては担当者が若いことや文化財の担当者でないことなどの理由により把握漏れした場合がある。また、スポーツとして行われ、担当部署が教育委員会にある場合なども漏れたものがあると推測される。
しかし、おおむね親切に対応してもらえた。とくに現地へ行けない場合、写真、文献、パンフレットなどの入手で協力がもらえた。ただ、詳細を尋ねるアンケートでは回収率が悪くなることが予想されたため、アンケートで回答のあった場合でも再度、電話による追加聞き取りを多数必要とした。(次頁に調査用紙を添付)
アンケート件数は約500件であった。
3) 聞き取り調査について
大まかな調査地域を安冨と石原は以下のように決めた。
現地での、聞き取り調査は時間のかかる点で大変効率が悪いが、正確な情報が得られることで重要であったから、『船競漕』の当日はなるべく避けて調査した。それでも調査箇所は限られた。しかし、今後の調査において聞き取りはもっとも重要であり、もっと時間とお金をかけての丹念な聞き取り調査が待たれる。
4) 博物館および市町村文化財担当課に依頼した調査について
当初の予定よりもその数はかなり少ない範囲に留まった。一つには、例えば市町村立博物館だとその市町村の情報しか持たないので、市町村アンケートでほぼ目的を達することができ、博物館を煩わすまでもない。したがって県立か私立博物館に依頼するのがいいわけだが、意外に海の民俗を研究テーマの中で扱っているところが少なく、結果的には下記のような数館にとどまったのは残念である。
大船渡市立歴史民俗博物館
福井県立若狭歴史民俗博物館
京都府立丹後郷土資料館
赤穂市立歴史博物館
愛媛県立歴史文化博物館
長崎県立対馬歴史民俗資料館
名瀬市立奄美博物館
瀬戸内町郷土館
ほかに、資料提供に関して特別のお世話になったのは、真鶴町(神奈川県)、美津島町(長崎県・対馬)、郷ノ浦町(長崎県・壱岐)、水俣市(熊本県)、吹上町(鹿児島県)などの教育委員会であった。