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新方式レーダーによる35ノットまでの一般船に対する性能向上の例としてその追尾におけるロストと乗り移りとなる確率を計算してみる。

計算の結果として、新方式レーダーの処理によってロストと乗り移りとなる確率は既存レーダーによる確率の1/128に減少する。

計算を次に示す。

新方式レーダーでは既存レーダーに比べ6秒毎のデタ数が2倍となることによって、追尾ゲート内にある確率は平滑効果により表3.10.3.1に示すように確率は0.75となっている。ロストする場合はアンテナが7回転して、続けて7回追尾ゲート内にその船舶のエコーがない確率であるから

(1-0.75)7=(0.25)7=0.000061

=(1/128)×(0.5)7

既存のレーダー方式では確率0.5で7回追尾ゲート内にその船舶のエコーが無い確率であるから

(0.5)7=0.00781

であり、新方式レーダーのロストと乗り移りする確率は既存のレーダーの1/128に減少すると言える。

実際にはそのような取り扱いはしないが、これは3秒周期で入ってくるデータを14回続けて見失った時のロストと乗り移りの場合の確率に等しくなっている。

このように新方式レーダーはロストと乗り移りが減少し、追尾性能が向上する。

既存レーダーにおける追尾の終了条件に相当する成功確率(P既存レーダー)と新方式レーダーにおける追尾の終了条件に相当する成功確率(P新方式レーダー)との関係は次のとおりである。

P既存レーダー:P新方式レーダー=(0.5)7:(0.5)14=0.00781:0.00006

P既存レーダー:P新方式レーダー=1:(1/128)

 

表3.10.3.2に試行回数がNで、同じ回数成功した場合の確率を表にして示す。

 

 

 

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