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3.9 位置誤差の減少対策による追尾性能向上

我が国のVTSシステムではレーダー観測する船位として、実時間処理を考慮してその船舶映像の中心位置としているが、この位置で今まで問題は無いため、新方式レーダーでもこの位置の採用を継承するのが妥当と考える。

昨年度の中間報告書第3章新方式レーダーの考察で指摘したとおり、新方式レーダーでは各々のアンテナ識別と各々のアンテナ別スレッショルドレベル個別制御及び相互連携制御による位置誤差減少対策で追尾性能の向上が期待できる。

我が国のVTSシステムのレーダーが高分解能レーダーであることは平成10年度の報告書第1章で指摘したが、新方式レーダーにおいても誤差特性は既存レーダーと同様で問題は無いと考えるのが妥当である。(既存レーダーの誤差特性については昨年度中間報告書参考資料3参照)

改めて新方式レーダーにおける位置誤差の減少対策による追尾性能向上への波及効果についてまとめると表3.9に示すとおりとなる。(詳細については昨年度の中間報告書第3章参照、具体的な誤差の減少は図3.9参照)

 

表3.9 新方式レーダーによる追尾性能向上

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(注1) ある量を観測して複数の観測値が得られた場合に真値にもっとも近いと信ずべき値(最確値)は、各観測値の誤差がいわゆる誤差の分布法則(平均値を0とする正規分布)に従うと仮定すると、それら各観測値の算術平均に外ならない。各観測値の標準偏差をσとすると、それら観測値N個の平均値における標準偏差σ平均ではσ/√Nとなり、個別の観測値の標準偏差σの1/√N倍に減少する。

一般に間接測定による測定値は含まれる誤差には色々な種類(要員)があるが、その測定値に及ぼす誤差の可能な最大となる値は、例えば、それら各個別誤差の絶対値の総和となることを考慮しておく必要がある。

レーダーによる観測位置に及ぼす誤差にはパルス幅や水平ビーム幅などによる誤差及び位置量子化単位に伴う位置量子化誤差などがある。

 

 

 

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