JTCAはJICAが行うマスタープラン調査やF/SあるいはJBICの円借款につながる運輸セクターの案件形成を主要な活動としている。この目的のために、JTCAは多くの調査団を派遣し、セミナーを開催してきている。
近年、JTCAは毎年、交通問題に関するセミナーの開催のため、運輸開発戦略研究所(TDSI)と協力し活動している。HCMCでは、3年前に日本及びアジアでの交通インフラ整備の事例を紹介するためのセミナーを開催した。
今日のセミナーは、マストランジット導入の可能性と発展ための戦略に重点を置いてHCMCにおける将来の都市交通を論議する目的で、JTCAとTDSIが共同で組織したものである。HCMCは人口規模が5百万を超える東南アジアで主要な大都市圏の1つである。近年のヴィエトナムの経済成長は特に目覚ましく、将来さらに加速することが予測されている。
他のアジア諸国のケースと同様に、マクロ経済の急速な成長が必然的に都市のモータリゼーションのペースを速め、人口集中と都市化を引き起こす。大都市での急速なモータリゼーションは交通渋滞と有毒な排気ガスによって公害を引起し、都市生活の質を悪化させ、人々は時には生命の危険にもさらされる。さらに、このような不可逆的な影響を引起すモータリゼーションの加速は、経済成長自体に影響を及ぼす。
市民の安全と持続可能な経済成長確保するために、市内で個人の自動車とオートバイの使用を制限する必要がある。しかし、私的交通手段の代替としての効率的な公共輸送機関の整備が肝要である。換言すれば、マストランジットが大規模主要都市の成長のために極めて重要であるということである。エネルギー消費の面でも、マストランジットはより環境にやさしく、エネルギー消費の面でもより効率的である。
しかしながら、マストランジット整備には莫大な投資が必要である。マストランジットの管理と運営には、技術と専門的知識が必要である。運営は財政面で健全でなくてはならず、従って乗客のコスト負担の問題が生じる。マストランジットは都市住民のニーズと費用負担を満足しなければならない。これらすべての問題は複雑であるが、このセミナの間に論じられる非常に重要な問題である。どうすれば、適切で、持続可能な、実現可能なマストランジットが、HCMCの成長を確保するために整備されるべきであろうか?どのように運営され、維持されるべきであるか?
本日、この議論により共通の理解が共有されることを心から望んでいる。
最後に日本からの講演者2人を紹介したい。基調講演は、東京大学の家田博士、2番目の講演者は都市・交通計画分野で経験豊富なコンサルタントであり、JTCAの正会員である株式会社アルメックの代表取締役、岩田鎮夫博士である。
討論が参加者の方々にとって有用であることを確信している。
セミナー成功を祈る。