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2.5 現地調査・ヒアリング調査のまとめ

(1) 都市計画・都市開発

YCDCの都市計画局が設立されて、約10年が経過したが、まだ歴史が浅く、組織・機構が充分でない。また、都市計画局の行政権力が明確ではない。都市計画、都市開発に係る法整備を行い、組織の再編、機能強化を行う必要がある。都市計画に関連する法整備が十分になさておらず、また拘束力を持った都市計画、都市計画も制定されていない。法律に裏付けされた拘束力のある「都市計画」、「土地利用計画」、「都市開発計画」、「都市交通計画」等で構成される総合的な都市マスタープランの策定が必要である。現在のヤンゴン市の都市構造は、南部既成市街地の1極集中構造である。人口500万人を抱える都市としては、副都心となる地区を設定し、多極型都市構造への転換が必要である。なお、工場、物流拠点、バスターミナル等の施設は順次郊外部への移転が行われており、今後商業、業務分野での多極化が必要である。工業団地、住宅団地等の新規開発計画は、工業省、建設省の管轄・管理により整備が行われている。これらの個別計画を総合的な都市計画に取り込むとともに、既成市街地の都市再開発等の個別個別計画も必要である。都心部では、路外での駐車場が殆ど整備されておらず、道路が駐車場として利用されている。開発行為者に駐車場整備を義務づける制度が確立されていない。今後、都心部での駐車対策・法整備が必要である。

 

(2) 鉄道交通

環状線は、位置的には都市内交通サービスに対応できる。しかし、そのサービス水準は低く、十分な役割を果たしているとは言えない状況にある。環状線は、OPEC等の援助を受け、信号設備の改良、軌道改良等安全性の確保に努めてきた。今後は、運行頻度増加、速度向上等のサービス向上に関わる改善を進める必要がある。また、郊外の鉄道駅を拠点とした都市開発を計画的に行い、鉄道駅を副都心の核として位置づけた開発が必要である。その候補として、Insein駅等が挙げられる。

 

(3) バス交通

バスサービスは、過去においては公共運営であったが、1990年代半ば以降、順次民営化が実施されている。都市間バス・郊外バスは民営化に成功し、サービスレベルが向上している。一方、都市内バスサービスは、バス車両の輸入規制、違法なバスの蔓延等により、正式なバス輸送需要は減少している。今後、YCDCが中心となり、都市内バス交通の公的な管理部局を組織し、民間事業者の指導・管理強化、サービス水準向上を図る必要がある。諸外国の例(シンガポール等)では、都市発展の過程では、都市内バス交通への公的介入(事業者の整理統合等)は有効な手段である。公的な助成措置(税金軽減、補助金等)の導入・強化が望まれる。バス事業体に、都市開発、ターミナル運営の権力を与え、事業の多角化を図り、バス事業体の基礎体力を向上させることも必要である。健全なバス事業者の育成をさらに図り、違法なバス事業者の取締、罰則を強化する必要がある。

 

 

 

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