3.4.3 経路選択のシミュレーション
「内航旅客船用避難経路評価法(草案)」に従って計算しなければならないケースの中で3ケースを試みた。1つは基本ケースで、夜間各人が居室に配置されているときで且つ避難経路に異常のないときである。2つ目は垂直避難経路が大きい中央階段で火災になった場合である。3つ目は真中の甲板1Fのレストランが火災になったときで、開口部のパスは輻射熱で通行不能になっている場合である。いずれも心理量を変えて77回のシミュレーションを行い、総避難時間、最終水平および垂直避難経路、ローカルな最大滞留時間およびその滞留場所、更には各シナリオでの最適なケースの場合の避難時間と滞留時間を計算した。また、最適ケースの脱出経路図相当の図を作成した。
3ケースの最適ケースについてみると、下表のようによく似た結果となった。固定経路の場合の結果と比較すると、総避難時間および滞留時間のいずれにおいても3ケースどのケースの避難経路でも固定経路より良い。
なお、モデルシップの固定経路は最下層甲板から上の甲板に昇って、別の階段から最下層甲板に降りるという不自然な経路があったが、経路選択モデルの想像距離の設定にはそのような行動は設定していない。設定することもできるが、設定しなくても固定経路よりも良い脱出経路を求めることができたからである。
3.4.4 まとめ
まず、個体モデルで固定経路の避難シミュレーションを行い、総避難時間、最大滞留時間などを求めた。次に、個体モデルで経路選択の避難シミュレーション、つまり各人が集団心理の人間モデルで経路選択するマルチエージェントシミュレーションで、基本ケース、中央階段火災ケース、1Fレストラント火災ケースの3ケースを解いた。そして、各ケースの最適経路を求めた。