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3.4 個体モデル

3.4.1 解析方法の概要

個体モデルは避難者を1人1人区別して取り扱うシミュレーションの方法である。抽象度が少なく実際の人の行動にもっとも近い解析法である。個々人の歩行速度等の属性のみならず人の心理モデル等を自由に設定できる。

抽象度が少ないのでプログラムが分かり易く、大きいがシンプルである。機能追加も容易である。また、グラフィックスも容易で、シミュレーションしながら画面に1人1人を時々刻々表示し、流出速度限界・密度限界もカラーで表示し、滞留人数・避難場所への到達人数なども円や棒で表示するので、全体を視覚的に把握できる。

ただし、入力ファイルが大きくなるので、アルバイト労力が必要である。また、大きなメモリーとハードディスクが必要である。しかし、これは大きな欠点ではない。コンピュータの進歩によって可能になった手法であるが、今後もコンピュータの進歩は続くと考えられるのでますます発展すると思われる。ネットワーク図の作成や各人の避難経路のノード列作成などのアルバイト作業においても恣意性は少ない。

 

ここで示す個体モデルは船内避難空間をネットワークで構成し、人間の行動を1人1人動かす。与えられた歩行速度でネットワークのパス上を動く質点であるが生身の人間である条件は、前の人と重ならないための限界流出速度以下でノードを通過することと、空間に限界密度以上に人が入らないことの2つである。それらの限界に達したときはその場に留まる。これを滞留と定義する。

個体モデルのプログラムがここに2つある。いずれも実船実験で検証済みである。

1] 固定経路のシミュレーション

2] 経路選択のシミュレーション

なお、ノードでの限界流出係数や歩行速度や限界密度、コーミング係数などは「内航旅客船用避難経路評価法(草案)」に従った。

 

1] 固定経路のシミュレーション

これは既に設定された避難経路に沿って人が行動するときのシミュレーションである。その避難経路が総避難時間と滞留の観点から基準に合致いているかどうかに答えるものである。その他、通路幅を変化させたときの変化を調べることはできる。

2] 経路選択のシミュレーション

 

 

 

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