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2] ケッペル・マリン・インダストリー(主として船舶製造)

99年の売上は、98年の2億2,700万Sドルから大幅に減少し、1億1,654万Sドルとなった。税引前利益も、前年の1,329万Sドルから491万Sドルに減少した。

 

3] ケッペルFELS(ケッペル・グループのオフショア構造物の専業メーカー)

99年の売上は、98年の12億8,652万Sドルから大幅に減少し、8億4,085万Sドルとなった。しかしながら税引前利益は、前年の2,714万Sドルから7,003万Sドルに増加した。これは、移動式オフショア掘削機器3基の建造と半没水型リグの改造工事による。

また、99年当初は原油価格が低迷したがその後、高値で安定していることや掘削海域が大深度化していること等の状況から、オフショア構造物の需要増の見通しをしている。

 

【3】 今後の見通し(シンガポール造船工業会)

シンガポールの海事産業は、世界の造船所との競争とりわけ価格面での競争に直面している。シンガポールでは、価格面では中国の造船所が安価な鉄鋼を利用し、優位に立っているとの認識のもとに海事産業分野での生き残りに必要な対策を講じている。

すなわち、シンガポールの造船会社はその競争力のある品質と納期をセールスポイントとし、国際競争に臨んでいる。

船の修繕、改造において、納期は決定的な意味を持つ。シンガポールの造船所が短納期で複雑な修理仕事を処理する能力は、多くの船主の信頼を得ており、シンガポールの船舶修繕の分野でのシェアを守る大きな要因となる。また、アジア太平洋地域の景気回復とシンガポールを先導的海事センターにしようとする政府の方針は、シンガポールの造船所にとって好材料となっている。2000年3月のPasir Panjangターミナルの開設で、コンテナ輸送の増加が期待でき、船舶修繕業にとって潜在的需要となる。また、LPG船、LNG船は従来日本で修繕を行っていたが、シンガポールが一定の技術力を保持し、日本と比較して低コストであるため、今後シンガポールでの修繕増が期待される。

新造船部門では、特殊船分野での有利な地位は変化しそうにないが、2000年の新造船受注は少なく、楽観できない。

一方、オフショア分野は、明るい材料がそろっている。世界的な経済の回復と貿易量の増加により、エネルギー消費の短期的増加が期待される。また、原油価格が1バーレル当たり20米ドルを超え、西アフリカの深水域での新油田発見により埋蔵原油探査活動の増加が見込まれる。これに対応し、より深い水域、より厳しい環境での作業を可能とするオフショア構造物の新造、高性能化の需要増が期待される。また、ESO、FPSOの改造、改良工事の需要も期待される。

シンガポールの海事産業の特徴は、適応性、意欲および対応能力である。海事産業の適応性、戦略的位置、発達した支援産業により、世界の船舶修繕とオフショア構造物の代替市場でシンガポールは今後も大きなシェアを占めていくであろう。

 

 

 

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